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まこと護佐丸の子のしるし

 「国立劇場おきなわ」(沖縄県浦添市)にて2月24日(土)と翌25日(日)、沖縄芝居公演史劇「護佐丸と阿麻和利」が上演されるとのこと。護佐丸と阿麻和利は沖縄で親しまれる歴史上の人物である。沖縄芝居はもちろん、組踊などでも護佐丸と阿麻和利の伝承が演じられている。

 1458年、第一尚氏・尚泰久王の時代、勝連按司・阿麻和利は忠臣として知られる中城按司・護佐丸が謀反を企んでいると王に吹き込み、王命により護佐丸を討伐した。護佐丸を除いた阿麻和利は天下を伺うものの、尚泰久王は阿麻和利を滅ぼし、その野望を打ち砕いたとされる。

 そもそも組踊は中国から王府に来る冊封使などをもてなす演劇であったが、儒教的倫理観の強い清朝からの使者たちは、こうした護佐丸と阿麻和利の一連の事件を題材とした組踊を鑑賞し、感じ入ったことであろうといわれる。

 ところが、阿麻和利が本拠とした勝連に残る「おもろ」には、阿麻和利を名君として讃えるものが多い。さらに蔡鐸本『中山世譜』(1701年成立)には、阿麻和利による護佐丸の討伐と阿麻和利の滅亡が記されるているが、『世譜』より一時代早く成立した王府の史書『中山世鑑』(1650年成立)には、護佐丸・阿麻和利の伝承が記述されておらず、護佐丸・阿麻和利について歴史的な再検討が進んでいる。

 先学の指摘によると、『世鑑』以降、王府の士族の家譜編纂が進められるが、そこで第一尚氏の末裔は自らの出自を語る「佐銘川大ぬし由来記」を生み出したとのことである。『世譜』はじめ護佐丸・阿麻和利の伝承の生成も護佐丸の末裔が関わるのであろうか。

 ともあれ、2月の沖縄芝居「護佐丸と阿麻和利」を楽しみにしたい。