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北部訓練場ヘリパッド建設における違法な警察活動と在沖海兵隊の「抑止力」

 昨日16日、那覇地裁は、2016年11月、アメリカ海兵隊北部訓練場ヘリパッド建設に関連し、沖縄県警指揮下の警察官が反対派の市民を支援する弁護士の通行を抗議現場近くで約2時間制止したことと、これに関連したビデオ撮影は違法であるとし、県に慰謝料30万円の支払いを命じた。

県道70号にて通行を制止する沖縄県警指揮下の愛知県警機動隊員【2016年9月23日】

 2016年7月以降の高江では、北部訓練場ヘリパッド建設が再開されたことにより、全国から数百人の警察官が動員され、違法な公権力の行使が横行した。その代表例が、本件訴訟で問題となった警察官職務執行法第5条「犯罪の予防・制止」や警察法第2条「警察活動」を根拠とする警察官による留め置き(通行の制止など)と反対派などへのビデオ撮影である。

 一昨年、花瑛塾メンバーも早朝より抗議のため高江に続く県道70号を車両で走行していると、警察官によって行く手を阻まれ、北部訓練場メインゲートやN1表・裏ゲートに近づけないことがあった。こうした警察活動について、その違法性が認定されたことは画期的というべきであり、提訴した原告に敬意を表したい。

 しかし、沖縄の基地問題に限らず、現在、政治運動や社会運動、あるいは穏健な環境運動や市民運動なども含め、あらゆる抗議活動や市民的主張、あるいは市民的な運動の現場で警察官による留め置きやビデオ撮影は常態化しているのが実情である。逆らう者にはとことんいく。逆らう者はとことんやられる。残念ながらそれがこの国の現実である。

 さて、公権力を違法に行使してまで急いだ海兵隊北部訓練場ヘリパッド建設であるが、そのことに一体どれほどの意味があったのであろうか。報道によれば、アメリカ軍海兵隊の全航空機が整備技能の低下や機体の老朽化によって、有事に対する即応態勢が規定の要件を下回っているとのこと。沖縄やハワイなどでは塩害による航空機の老朽化や腐食があり、他の基地の機体とのローテーション計画もあるそうだ。

 つまり、沖縄に駐留する海兵隊の軍用機はポンコツであり、そのポンコツ軍用機でも維持できてきたのが日米安保に基づく海兵隊沖縄駐留による「抑止力」だということが明るみとなった。花瑛塾は海兵隊沖縄駐留による「抑止力の維持」なる論理に疑問を投げかけてきたが、あらためて在沖海兵隊「抑止力」論の根拠は薄弱であることが理解できたことだろう。その上で公権力を違法に行使してまで急いだ一昨年の高江での出来事を総括する必要がある。