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陸上自衛隊・航空自衛隊イラク派遣部隊日報隠蔽問題について

 これまで「存在しない」とされていたイラクに派遣された自衛隊の部隊の日報が「発見」され大きな話題となっている。しかも陸上自衛隊にあっては、実際は1年以上前から日報の存在を把握し、これを内局・大臣に報告していなかった。さらに航空自衛隊でもイラク派遣時の日報が「発見」された。

陸上自衛隊のイラク派遣日報について、記者団に説明する小野寺五典防衛相=4日午後、防衛省【時事ドットコムニュースより】

 この問題は第一に、「軍部の独走」という言葉にある通り、自衛隊という実力組織が文民の統制から離れていることを示すものであり、同時に、文民の側である安倍政権に自衛隊を統制する能力がないことを示している。これは森友問題における財務省の公文書改ざん、裁量労働制に関する厚生労働省のデータ、加計学園問題に関する文部科学省の「総理のご意向」の文書隠しなど、あらゆる面で安倍政権の統治能力が欠如していることと同根である。安倍政権を厳しく批判し退陣を実現するなかで事態を収束・解決していく他ない。

 第二に、3年前の安保関連法の国会審議において、日本共産党委員長・志位和夫氏や同国対委員長・穀田恵二氏らは、イラクに派遣された陸上自衛隊および航空自衛隊が戦闘状態に入る一歩手前であり、輸送機も撃墜される可能性があったことを、自衛隊の内部文書「イラク復興支援活動行動史」をもとに明るみとし、こうした自衛隊の海外活動を強化・拡大する安保関連法(重要影響事態法)は危険であると主張した。しかし、防衛省はこの内部文書について、自衛隊が危険な状況にあったことを示す記述を黒塗りで公開したのである(後に完全公開)。そもそも政府にとって、イラク派遣時の自衛隊の活動は今次の日報「発見」以前より「不都合な真実」であり、公開する意思がなかったといえる。

 文民統制も大変重要な問題であるが、実力組織を統制する文民とは、究極的にいえば私たち主権者のことであり、具体的には私たち主権者の代表として政治家が行うことになる。その政治家や政府が私たち主権者に真実を伝えるつもりがなければ、どうして文民統制など達成できるだろうか。文民統制とともに、主権者による統治権力の統制が何よりも重要ではないだろうか。