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平成30年6月23日 東京琉球館「生死を超えた琉球人搾取ー百按司墓遺骨返還運動が問うもの」(講師:松島泰勝氏)

 東京琉球館(豊島区駒込)にて開催された松島泰勝氏(龍谷大学)を講師とするフォーラム「生死を超えた琉球人搾取ー百按司墓遺骨返還運動が問うもの」を拝聴しました。

 戦前、京都帝大助教授・金関丈夫は、今帰仁村の百按司墓(ももじゃなばか)を調査し、警察・行政の許可を得つつも関係者や付近住民の了解のないまま遺骨を持ち出し、京都帝国大や台湾帝国大に寄贈するなどしました。

 金関の行為はいわば盗掘であり、当時の沖縄の行政や警察の上層部が現地の人々ではなく日本「本土」人が占めていた状況であるからこそ行われたものであり、一種の植民地体制下の出来事といえます。金関の行為は学術的な倫理にも悖るものであり、人々の信仰や生活を無視した犯罪的行為ですが、それは金関個人の犯罪性ということだけではなく、その背景には日本「本土」と琉球・沖縄の構造的な差別・蔑視関係、植民地的な収奪の関係を見ることができます。

 金関が持ち出した百按司墓の遺骨について、京都大学は現在も返還しておらず、松島氏らの返還要望への回答を拒否しています。琉球・沖縄の人々は、生きている間は基地や経済の面で植民地的支配を受け、死んでなお遺骨を「戦利品」のように強奪され続けるという支配を受けているといえます。

 松島氏より返還運動の現状と遺骨持ち出し問題の背景にある植民地主義や日琉同祖論などについて解説を伺いました。