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トークイベント「やまとぅ問題を斬る! 沖縄への視点/沖縄からの視点 Vol.2」が毎日新聞(地方版)で取り上げられる

 毎日新聞2018年11月16日(地方版)で以下の記事「辺野古移設 右派も「NO」 米追随、安倍政権に「民意守れ」 東京で沖縄基地問題トークイベント」(西銘研志郎記者)が掲載された。有料記事ではあるが、ぜひご覧いただきたい。

辺野古移設 右派も「NO」 米追随、安倍政権に「民意守れ」 東京で沖縄基地問題トークイベント

 トークイベントの登壇者は中村友哉氏(「月刊日本」副編集長)、山口祐二郎氏(憂国我道会々長、フリーライター)、渡瀬夏彦氏(ノンフィクションライター)、木川智(当塾々長)の4名。

 中村氏が副編集長を務める「月刊日本」は、保守系政治家のインタビュー記事などを誌面とする「日本の自立と再生をめざす」と銘打った保守系言論雑誌。山口氏は民族派団体代表を務め、公安警察から「右翼活動家」と分類されている人物。つまり登壇者の顔ぶれは、この記事の言葉を借りれば「保守」「右派」が多い。

 一方、渡瀬氏は「週刊金曜日」などで沖縄基地問題に関する記事を執筆するなど、「保守」「右派」とは立場が異なる。また前回のトークイベントでは山口氏と木川の他に「保守」「右派」側として仲村之菊(当塾副長)が加わった他、香山リカ氏(精神科医)や安田浩一氏(ジャーナリスト)が登壇するなど、「右」と「左」が沖縄基地問題や沖縄が置かれている状況について語り合うのがこのトークイベントの特徴である。

満員となったトークイベントの様子(登壇者は左から山口氏、渡瀬氏、中村氏、木川)

沖縄基地問題と「右」「左」

 沖縄基地問題というと、いわゆる「左」の運動が想起されるかもしれないが、

  • 「相次ぐ米軍機事故や米兵犯罪、騒音被害といった基地負担について、米軍の無法・横暴を許していいのか」
  • 「国土を米軍にいわれるがまま差し出していいのか」
  • 「米軍に防衛を任せきりでいいのか」
  • 「日本のなかで沖縄にだけ過剰な基地負担を押しつけていいのか」
  • 「沖縄戦で壮絶な犠牲を強いた沖縄に、これ以上基地問題で迷惑をかけていいのか」

といった「右」の立場から沖縄基地問題に意識・関心が高まるのは当然でもある。前沖縄県知事・故翁長雄志氏はそもそも保守政治家であり、沖縄自民党が一時期、明確に辺野古新基地の「県外・国外」移設を求めていたことは記憶に新しい。

 また大阪教育大准教授・櫻澤誠氏(日本近現代史・沖縄現代史)は、復帰運動など戦後沖縄における保守勢力の動向に着目し、沖縄における保守あるいは革新の意味を問い直している。

 「右」からの沖縄基地問題への関心の高まりについて、前出の安田氏は「辺野古移設 右派も「NO」 差別問題に詳しいジャーナリストの安田浩一さんの話/群馬」との記事で「右翼の原点回帰か」とコメントしている。こちらの記事もご覧になっていただきたい(有料記事)

葦津珍彦と沖縄基地問題

 「神社新報」主筆を務め、戦後神道界を代表する言論人・思想家として名高い葦津珍彦氏は、昭和31年(1956)6月30日付「神社新報」にて「沖縄の同胞は起ち上がった 祖先の墓地はゴルフ場に」との記事を執筆し、この頃沖縄で発表された米軍基地のための土地の強制接収を認める「プライス勧告」と、これに反対する沖縄の人々による「島ぐるみ闘争」について論じている。

 葦津氏は神道家として、沖縄における伝統的祖先祭祀の要である「墓」に着目し、これらの墓が接収され改葬する間も無くブルトーザーで潰されていく現状に深い同情を寄せ、

「痛恨の情、禁じがたい島民の目の前には、広々としたゴルフリンクやテニスコートや娯楽用のドライヴ・ウエーまでが造られて行く」(昭和31年6月30日付「神社新報」)

と米軍の無法・横暴を告発している。

 さらに熾烈な沖縄戦を紹介し、日本軍が沖縄の人々を過酷な状況に追いやったことにも触れつつ、

「この島の人たちは、文字どほり死力を尽くして米軍と戦ひ抜いた人々のみである。それだけにあまい考へはない。抵抗の決意は、沈痛にして強固である」(同)

 と沖縄でプライス勧告に抗して戦われている「島ぐるみ闘争」へ敬意を表す。その上で、

「十年前に、女も子供も手榴弾をもって死守抵抗した同胞たちが、今や再び起ち上がった。だが今度は身に寸鉄をおびずして、ただ精神のみによる抵抗を決意してゐる」(同)

「かつての戦争では、沖縄の同胞を救援し得なかった日本政府も、今度こそは義務を果たすべきである。日本国民の人権を保護することは日本政府の当然の義務である」(同)

 と結ぶ。戦後かなり早い時期、「保守」「右派」あるいは「神道信仰」といった立場からの沖縄基地問題に関する葦津氏の言論は、いまこそ顧みられるべきであり、沖縄基地問題の解決に資するものである。

 なお、トークイベント「やまとぅ問題を斬る! 沖縄への視点/沖縄からの視点」は不定期ながら継続的に開催予定とのことなので、次回に注目したい。