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平成30年11月23日 東アジアフォーラム第16回研究会

 東アジアフォーラム第16回研究会に参加しました。

 前回の東アジアフォーラム第15回研究会は、佐藤知也氏(平壌・龍山会々長)をゲストに「平壌の日本人墓地」とのテーマのお話しを伺いました。今回は渡辺雅之氏(大東文化大学教職課程センター准教授)がゲストとして登壇し、「差別の生まれるトコロ たたかうチカラ」をテーマにお話しを伺いました。

 渡辺氏によると、ジェノサイド・戦争・ヘイトクライムといた差別表現は、攻撃的なヘイトスピーチや政治的・社会的な差別、そして例えばLGBTなどを嘲笑する風潮やデマやフェイクに踊るといったカジュアルヘイト、そして無関心やミーイズム(NIMBY:Not in my back yard)といった下部構造が下支えするとともに、ヘイトクライムによってさらに下部構造が強化・助長されるといった関係があるとのことで、渡辺先生は本年9月にこうした構造を取り上げた論文「ヘイトスピーチと“カジュアルヘイト”に関する心理学的アプローチ─社会の中に埋め込まれている無頓着な差別的言動─」を執筆してます。

 例えば、社会的な無関心やNIMBYを背景に、行政による朝鮮学校の補助金打ち切りといった政治的・社会的な差別、政治家による朝鮮半島情勢の危機を扇動する発言、SNSなどでの外国人犯罪の多発や生活保護受給といったデマなどといったカジュアルヘイトが、朝鮮学校への攻撃的なヘイトスピーチへとつながっていくこと、さらにそうした攻撃的なヘイトスピーチがエスカレートして北朝鮮関連施設・団体へのヘイトクライムにつながることは、容易に推測できます。

 こうした「差別の生まれるトコロ」を知れば、自然と「たたかうチカラ」も見通せるかと思います。差別・ヘイトという権力的構造のなかにおける「どっちもどっち」論の悪質さや、2013年以降の反ヘイトスピーチの取り組みやそれ以前からの人々のたたかいについての解説などもあり、勉強になりました。

お話しされる渡辺先生