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北方領土問題に抗議した花瑛塾学生部長A同志の逮捕に関して

 東京地検は17日、A同志の釈放を決定しました。これをうけてA同志は17日午後6時頃、留置先の警察署から釈放されました。皆様には大変ご心配をおかけしました。取り急ぎご報告いたします。

 15日(火)、花瑛塾学生部長A同志(21歳)が総理大臣官邸付近において警視庁機動隊により逮捕されました。

 A同志は普段アルバイトをしながら学業にはげみ、そのかたわらで安倍政権への抗議活動を続けていました。一刻も早い釈放を求めます。

事件の概要と現状

 A同志は1月15日13時12分頃、北方領土を切り売りするかのような安倍政権の場当たり的な対ロシア外交に抗議するため総理大臣官邸に近づいたところ、かねてより官邸周辺を警戒警備中の警視庁第3機動隊員Bによって不当に身柄を制止されました。

 この時点でA同志は逮捕されたわけではなく、違法行為をはたらいたわけでもありません。そのためA同志が機動隊員Bに身柄の制止について抗議し、解放を要求して抵抗したところ、機動隊員Bともみ合いになり、A同志が機動隊員Bの制服をつかんだことにより公務執行妨害罪の容疑で逮捕されました。

 A同志は現在、担当警察署で留置中です。今後、検察による取り調べが行われ、10日もしくは20日の勾留がなされるか、そして起訴・不起訴がなされるかが焦点となっています。

A同志の身柄制止の根拠と公務執行妨害罪の不成立

 警察は、総理大臣官邸など重要施設周辺において、要注意人物や不審者などを立ち入らせないよう規制線を設け警備をしているが、この規制措置の法的根拠は非常に曖昧です。また規制線といってもロープなどで区切っているわけではなく、あくまで警察の認識に基づく区画であり、標識などで一般に明示されているわけでもありません。

 その上で、今回の事件では、A同志が官邸周辺の規制線内に立ち入ったことをうけて機動隊員BがA同志の身柄を制止しました。しかし繰り返すようですがA同志は官邸敷地内に不法侵入したわけではなく、建造物侵入罪などには該当していません。

 それではA同志が規制線に進入したことをうけた機動隊員BによるA同志の身柄制止の法的根拠はなんでしょうか。

 例えば、沖縄での基地建設に反対する市民の身柄を沖縄県警が不当に長時間制止した事件では、県警は警察官職務執行法第5条および警察法第2条を身柄制止の根拠としました。以下、警職法第5条および警察法第2条を示します。

警察官職務執行法第5条 警察官は、犯罪がまさに行われようとするのを認めたときは、その予防のため関係者に必要な警告を発し、又、もしその行為により人の生命若しくは身体に危険が及び、又は財産に重大な損害を受ける虞があつて、急を要する場合においては、その行為を制止することができる。

警察法第2条 警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもってその責務とする。

 機動隊員BによるA同志の身柄制止の法的根拠も沖縄県警の身柄制止同様、上記条目にあるというのならば、警察は勝手に区画した規制線内に市民が進入することを犯罪と結びつけているということであり、またそこでの抗議活動などを犯罪視していることになります。もちろん、それらの行為が「犯罪」に該当しないことはいうまでもありません。

 A同志が凶器を所持していたり、明らかに官邸敷地内への不法侵入を試みていたのならば話は別ですが、そうでない以上、A同志の逮捕に至るまでの警察活動そのものの妥当性が問われます。つまりA同志の身柄を制止した行為が法的根拠のない規制措置に基づく違法な警察活動であれば、当然、違法な公務(警察活動)の執行は認められないのですから、「公務執行妨害罪」は成立しません。

規制措置に関する恣意的運用の問題点

 同時に、官邸周辺では、官邸正面の交差点(総理官邸交差点)において、反原発などを訴える市民による抗議活動が日常的に行われていますが、花瑛塾はじめ一部民族派団体などは普段から警察による身柄や進行の制止により総理官邸交差点に行くことができません。そもそも官邸周辺に近寄ることも難しい状況です。

 警察が恣意的に規制措置を運用し、ある特定の人々には規制線内への進入を認め抗議をさせるが、ある特定の人々には規制線内への進入を認めず抗議活動も許さず、近づくことすら認めないということは警察活動として妥当といえるのでしょうか。

 今回、A同志が規制線内に進入したことも、一般市民であればとがめられることもなく、まして身柄を制止されることもなかったでしょう。法的根拠不明かつ恣意的な規制措置の運用によりA同志の身柄を制止したとするならば、その点からでも公務執行妨害罪は成立しません。

北方領土交渉はこれでいいのか

 A同志が抗議した北方領土問題ですが、昨年11月、安倍総理はロシア・プーチン大統領と23回目の首脳会談を行い、日ソ共同宣言を基礎とし、平和条約締結交渉を加速させる方針で一致しました。

 日ソ共同宣言には、平和条約の締結後、色丹島・歯舞諸島を日本側に引き渡すと明記されているが、北方四島のうち国後島および択捉島、あるいは他の千島列島や南樺太の帰属・返還については何らの言及がありません。これまでプーチン大統領は日ソ共同宣言について「いまだ有効」との見解を示しており、政府・自民党の従前の北方四島返還交渉と大きく異なる「二島返還」で日ロ交渉が加速しています。

 ロシア側はここのところ、「北方領土」という呼称を見直せ、北方領土のロシア側の主権を認めよ、などと持論をまくしたてており、これについて日本側は目立った反論ができていません。河野太郎外相はロシア・ラブロフ外相との会談後に共同記者会見を行わないなど、安倍政権の対ロ外交は非常に不透明であり、何を目指しているのか不明です。

安倍政権は対ロ外交を再検討せよ

 こうした原因の一つとして、安倍政権が外交を国内向けの「パフォーマンス」「点数かせぎ」としていることが考えられます。本来ならば防衛・外交当局者間の話し合いで解決していたはずの韓国海軍レーダー照射事件についても、安倍総理の意向でむやみやたらに反韓国の強硬論をまくしたてたことなどはその象徴といえるでしょう。「外交の安倍」が北方領土の返還という実績をつくりたいため、対ロ外交で浮き足立ち、領土返還要求の原理原則を見失い、右往左往と迷走し、ロシアに手玉に取られています。

 様々なアプローチで領土交渉をすることは重要ですが、安倍政権は対ロ外交をどうしたいのか、北方領土交渉をどのように進めたいのか、まったく見えてきません。これまで数十年にわたる北方領土交渉はどうなるのでしょうか。方針転換をするならば、これまでの交渉の反省と総括、そして国民への説明が必要です。

 A同志にかわり、あらためて安倍政権へ対ロ外交の早急な再検討を求めます。

追 記

 16日(水)、A同志の留置先を訪れ、差し入れ・面会を行いました。A同志は大変元気そうであり、「お騒がせしました」といっていました。A同志の逮捕に関し各方面より激励や支援のお申し出をいただいておりますが、お気持ちだけ有難く頂戴し、私どもの責任で対応していきます。皆で声を上げ安倍政権を追い詰めていくことがA同志にとって最大の「差し入れ」かと思います。