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県民に開かれた選考会議を! 「県民の声」100人委員会による沖縄発の新たな民主主義のアクションに敬意を表す

 「県民の声」100人委員会のメンバーは15日、沖縄県庁で記者会見し、夏の参院選挙はじめ今後の国政選挙における候補者選考に関して、「県民に開かれた候補者選考」を求める要望書を公表し、賛同者を募る署名集めを開始したと発表した。

 会見には渡瀬夏彦氏(ノンフィクションライター)や親川志奈子氏(沖縄大非常勤講師)、徳森りま氏(「大好きな沖縄を盛り上げる市民の会」呼び掛け人)、多嘉山侑三氏(ミュージシャン)らが出席した。

 沖縄発の新たな民主主義のアクションに心から敬意を表したい。

 「県民の声」100人委員会の要望書は、以下の通り。

候補者選考に関する「調整会議」関係各位

 今夏の参議院議員選挙を含めた今後の国政・県知事選挙にかかる候補者選考につきまして、次の事項を要望します。

<要望事項>

  1. 「県民選考会議」を設置し、協議過程を県民へ説明すること。
  2. 自薦・他薦や公募の機会を設け、最低でも一週間の募集期間をおくこと。
  3. 選考会議で候補者による公開プレゼンの機会を用意し、また県民の意見を協議過程に反映すること。

 

記者会見する「県民の声」100人委員会メンバー:八重山日報2019.3.16より

 「県民の声」100人委員会の要望書の提出と賛同人集めの背景には、今夏の参院選の候補者選考の不透明さがある。今夏の参院選には現職の糸数慶子氏(社会大衆党)が立候補の意欲を示していたが、社会大衆党は糸数氏を擁立せず、高良鉄美氏を候補として擁立した。この候補者選考について、一部でその不透明さが問題視されており、政党主導の候補者選考ではなく、候補者選考に県民が積極的に介在でき、意思決定に参与できる民主的な仕組みを求める「県民の声」100人委員会の動きにつながったと考えられる。

 新聞報道によると、「県民の声」100人委員会について、「糸数慶子氏を候補に押し上げようとする動き」などと批判的に見る向きもあるようだが、それはまったく的外れだ。「県民の声」100人委員会のステートメントには次のようにある。

主権者である県民が「選ぶ」「決める」過程に参加することで、選挙や候補者に対してより強く当事者意識を持って関われるようになります。
県民投票も、当初は「やる意味がない」「リスクが高い」と言われていました。
しかし、実施を通じて、県民にとって重要なテーマの「意思決定」に参加したいという一人ひとりの想いが大きなうねりとなり、43万票の埋立て反対票という圧倒的な結果をもたらしました。
くれぐれも誤解のないように申し上げますが、私たちはすでに候補者としてお名前が挙げられてきた方々を否定する意図は全くありません。
候補者選考が県民に対して開かれた形で行われた結果、どなたが選ばれたとしても全力で応援したいと思います。
だからこそ、これまで実質的候補者選考に携わってこられた関係者の方々、すなわち、知事選挙・国政選挙など重要な節目の選挙の都度、政党、労働団体、企業などで構成されてきた「調整会議」の皆さまには、下記の要望事項をご検討いただきますようお願いする次第です。
この要望書と賛同署名によって、ウチナーンチュが心を一つにあわせられる候補者を選び、団結して支える、そうした機運につながれば幸いです。

 こうしてみると、「県民の声」100人委員会のアクションは、「特定人物を候補に押し上げる動き」などではなく、もっと大きな視野に立った動き、いわば「沖縄の民主主義そのものを押し上げる動き」とでもいうべきものだ。それはまた「オール沖縄」を本当の意味で「オール沖縄」にブラッシュアップする動きともいえる。逆をいえば、ここで「県民の声」100人委員会の要望を足蹴にするならば、「オール沖縄」の存在意義が問われるだろうし、その未来も危ういといえるだろう。

 「県民の声」100人委員会のアクションを見ると、沖縄には民主主義が息づき、躍動していると実感する。先の辺野古県民投票では、18歳・19歳の若者たちも積極的に投票し、「埋め立て反対」の圧倒的民意を示したが、「埋め立て反対」を訴える国政選挙の候補者選考に不透明さや非民主的手続きがあれば、そうした若者の政治的関心や意欲もそがれるだろう。「県民の声」100人委員会の動きは若者の政治への意欲をフォローするものともいえる。

 沖縄はやはり「民主主義の最前線」だ。「県民の声」100人委員会の今後の動向を注視したい。

「県民の声」100人委員会のステートメント