未分類

令和2年5月13日 コロナで大変な時に安倍は保身だけか! 黒川検事長の違法な勤務延長と検察庁法の改正案に抗議しました

 国家公務員法の改正案と検察庁法の改正案が国会で審議入りしました。私たちは自民党本部前ならびに国会前にて、東京高検黒川検事長の違法な勤務延長と、これを後付けで正当化し、さらに検察官人事への恣意的な介入の道をひらく安倍政権による検察庁法の改正の動きに抗議しました。

 黒川検事長は本年2月、63歳の誕生日を迎え、検察庁法の規定に従い、定年退職となる予定でした。ところが、安倍政権は、黒川検事長の誕生日の直前の本年1月末、国家公務員法に定められた勤務延長に関する規定を適用し、勤務延長させることを閣議決定しました。

 本来であれば本年7月、現在の稲田検事総長が慣例に従って勇退し、名古屋高検林検事長が後任の検事総長に就任する予定となっていましたが、黒川検事長の勤務延長により、黒川検事長が検事総長に就任する可能性が出てきました。

 黒川検事長を勤務延長させる根拠となった国家公務員法の規定では、離島やへき地などで後任者がなかなか見つからない場合や、余人をもって代え難い名人芸的な技術を有する職員など、その職にあるものが定年退職すると業務に著しい支障がある場合に限り、特例的に勤務延長を認めることになっています。

自民党本部前にて

 しかし言うまでもなく東京高検検事長職は離島やへき地の職ではありません。そうすると黒川検事長には余人をもって代え難い名人芸的な技術があるということになりますが、はたしてどのような名人芸的な技術があるというのでしょうか。甘利明の贈収賄疑惑や小渕優子の政治資金規正法違反事件、森友事件など、これまでの安倍政権下での数々の政治犯罪を見逃してきたといわれる黒川検事長ですが、まさか「官邸の番犬」「政権の守護神」として安倍総理にすりよる名人芸的な技術があるとでもいうのでしょうか。

 そもそも検察官の定年は検察庁法に定められたものであり、国家公務員法の勤務延長に関する規定を用いて検察官を勤務延長させることには問題があるといわねばなりません。事実、これまでの政府見解は、国家公務員法の定年などに関する規定は、検察官には適用されないというものでした。

 なぜならば、検察官は一般職の国家公務員といっても、犯罪被疑者の起訴や不起訴、裁判、捜査、逮捕といった権限を持つ職であり、準司法官として極めて高度な独立性が求められているからです。

 まさに黒川検事長の勤務延長は、違法な勤務延長という他なく、そうした黒川検事長の違法な勤務延長に端を発し、それを後付けで正当化し、さらに今後の検察官の人事をわが物としようとするのが、このたび審議入りした検察庁法の改正案です。

国会前にて

 検察庁法の改正案では、検察官の定年を63歳から65歳に引き上げるとともに、一定の年齢になったら検事長などの役職につくことができず、また現任の役職からはずれなければならないという役職定年の制度などが設けられます。一方で法務大臣や内閣の定めにより、定年を迎えても勤務延長が認められ、役職定年を迎えても引き続き現認の役職に留任できる特例が認められることになっています。

 私たちは、こうした定年の引き上げやそれにともなう役職定年制度の導入そのものを問題視しているわけではありません。重要なのは、検察官の定年や役職定年に関し、法務大臣や内閣が認めれば、定年が延長され役職定年も適用されないというような特例が存在している法制度だということです。つまり法務大臣や総理大臣に気に入られた検察官は、定年を迎えても退職することなく引き続き勤務ができ、また役職定年を迎えても役職に留任することになります。逆をいえば法務大臣や総理大臣に気に入られなかった検察官は、定年や役職定年により検察を去り、また役職をはずされるということになります。

 こうした特例を認める検察庁法改正案は、まさしく準司法官たる検察官の人事に対し、時の内閣、政権の恣意的な介入を許す法制度であり、認めることはできません。

 法案審議のあり方にも問題があります。黒川検事長の違法な勤務延長について追及された森まさこ法務大臣の失言などが取りざたされたためか、安倍政権は検察庁法と国家公務員法の改正を一括し、内閣委員会で審議することにしました。これにより法務大臣が審議に出席せず、質疑もしないまま検察庁法が改正される可能性があります。

黒川検事長(右)と林検事長(左)

 現在、私たちの国は新型コロナウイルス感染症が蔓延し、政府は緊急事態宣言を発出するなど、大変な時にあります。市民には不要不急の外出はするなと自粛を求め、企業や個人事業主にはそれによる経済的損失を強要しながら、安倍総理は自分の保身のためにお気に入りの検察官を検事総長に就任させ、さらには今後の検察人事に介入する不要不急の法案成立を目指しています。

 アベノマスクはいつ国民に届くのでしょうか(別にいりませんが…)。特別定額給付金の給付はいつ実施されるのでしょうか。中小企業や個人事業主が大変な思いをしているなかで、それらを支援するための持続化給付金の給付はどうなっているのでしょうか。はたして安倍総理は今、検察庁法改正に熱をあげている場合なのでしょうか。「コロナで大変な時にお前は自分の保身しか考えていないのか!」─これこそが多くの人が抱いている感情であるはずです。

 私たちは検察庁法の改正に強く反対の声をあげていきます。

令和2年4月21日 新型コロナウイルス感染症の拡大を奇貨とした憲法改正や国家公務員・検察官定年延長(検察庁法改正)など自民党の火事場泥棒のような動きを糾弾しました