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【令和2年の終わりに】一年の振り返りと新しい年を望んで

令和2年の終わりに

 早いもので今年も残り一日となりました。

 今年は何といっても新型コロナウイルスの感染拡大に見舞われた年でした。日本だけでなく世界中がこの一年を非常事態下で過ごしました。コロナ禍で亡くなった全ての方々へ哀悼の意を表すとともに、現在コロナに罹患し治療等をうけている方々へお見舞い申し上げます。また医療従事者はじめコロナと戦う全ての関係者へ感謝を申し上げます。

コロナ患者の受け入れ訓練:朝日新聞2020.3.19

 花瑛塾としては、コロナ禍によってあらゆる活動が制限された一年でした。またコロナに打ち克つことが最重要と考え、率先してあらゆる活動を制限した一年でした。

 非常事態において私たちの活動が制限されることなどいくらでも甘受し、率先して活動を制限することにためらいもありません。一方で安倍・菅政権のコロナ対策の不備は目に余るものがあり、積極果敢な街頭行動が求められる局面もたびたび出来するなかでの活動の制限は大変歯がゆく、様々な課題を解決できず、心残りを多数抱えたまま一年を終えることは残念でなりません。

 コロナ禍収束の見通しは立っておらず、年が明ければ心機一転、活動を再開するというわけにもいきません。欧米ではワクチンの接種が始まり、日本でも少しずつワクチンの接種が始まるでしょうが、望む人全てがワクチンを接種できるようになるにはまだまだ時間がかかることでしょう。またワクチンの接種により健康被害等が確認されれば、接種の一時停止もあり得るわけであり、来年以降も当面はこの状況を覚悟しなければなりません。

 とはいえ「高められない時は深める時」ともいいます。

 街頭に打って出ることは叶いませんが、そうであれば思想を深め、時局を見通し、時に厳正批判し、時に建設的な提言をするよい機とする必要があります。特にこうした非常事態こそ、これまでの自らの思想と覚悟が試されるのであり、動揺することなく志操堅固にありたいと思います。

 そのためにも年の終わりに今年一年の国内外の動向と花瑛塾の活動や主張を簡単に振り返り、新しい年の展望を切り開く一つの材料としたいと思います。

コロナ禍の拡大

 昨年末から中国・武漢でのコロナの感染拡大が深刻化し、1月の終わりには在武漢邦人の帰国のため政府チャーター機の往来が始まりました。千葉・勝浦のホテルでの帰国者受け入れといった報道を覚えている方も多いと思います。そして2月には乗客のコロナ感染が確認されたダイヤモンド・プリンセス号の横浜港入港があり、日本全体でマスクが不足し始め、3月の小中高校および特別支援学校等の全国一斉休校、さらには4月の緊急事態宣言発出と事態は続いていきました。

緊急事態宣言の発出について記者会見する安倍前首相:産経新聞2020.6.26

 コロナ禍の拡大につれ、安倍政権はコロナ対策で失政、悪政を続け、統治能力の欠如が露呈していきました。いわゆるアベノマスクや一律10万円の特別定額給付金をめぐる政権の混乱は記憶に新しいと思います。

 言うまでもなくパーフェクトな危機管理はありえません。誰がリーダーであっても非常事態において悪手やミスはついてまわるものです。

 しかし安倍政権は後先を考えないその場の思いつきのような対策を繰り返すことに終始し、対策の効果が不十分であるばかりか、対策が様々な弊害をもたらしながら、その弊害への救済措置が欠如していました。

 例えば先に触れた全国一斉休校は、対策の一つとしてありえるオペレーションであり、必要ならば躊躇せず実施するべきものです。しかし休校により自宅に待機する児童生徒の勉学や食事、あるいは様々な理由で家にいたくない、いられない児童生徒の居場所はどうするかなどについて十分な配慮がないまま実施されてしまいました。その結果、離職や休職など仕事に影響をうけた家庭が散見されました。特に日本は「子どもの面倒は女性が見るもの」といった価値観が根強いため、女性が全国一斉休校の犠牲と負担を強いられたといわれています。

 コロナ対策の原則は、PCR検査の徹底による陽性者の隔離と対人接触の最小化による感染拡大の防止であり、そのためには一定の強制力を伴った市民の行動制限等の措置が必要となりますが、それには当然ながら十分な補償や救済措置が求められます。強制力を伴った措置と補償や救済をセットにすることにより、対策の実効性を高め、また社会の混乱を防ぎ、対策の弊害を最小限に留めることになるわけです。

 安倍政権の打ち出す対策は、この補償や救済の点で特に大きな問題がありました。

 日本における強制力を伴った措置は、新型インフル特措法に基づく緊急事態宣言に基づく土地使用や医薬品の確保等の措置ですが、全国一斉休校や都道府県知事による自粛要請など緊急事態宣言に基づかない措置も実質的には強制力を伴う措置として機能しており、そこには十分な補償や救済が必要でしたが、そうしたものは全く備わっていないか、少なくとも不十分でした。その結果、先ほど触れた例えば全国一斉休校による女性の負担や自粛要請に伴う企業・商店の経営悪化、雇用の悪化等を招いたのです。

安倍政権の終焉と菅政権の成立

 このようにコロナ対策で失政、悪政を続けた安倍政権ですが、東京高検幹部の違法な勤務延長やそれを後から合法化する検察庁法改正など、我が身を守る政策だけは躊躇なく断行していきました。

 花瑛塾は、こうした安倍政権の身勝手で法を踏み越える行為に対して厳しい抗議行動を展開しました。また世論の批判も集中し、安倍政権は東京高検幹部の違法な勤務延長の撤回こそしなかったものの、検察庁法改正断念に追い込まれました。

令和2年5月13日 コロナで大変な時に安倍は保身だけか! 黒川検事長の違法な勤務延長と検察庁法の改正案に抗議しました

 全ての行動が裏目に出て、手詰まりの状況に陥っていく中で、安倍首相はついに8月末、辞任を表明しました。約8年も続いた超長期政権がここに終焉を迎えたのです。

 花瑛塾は安倍政権の終焉について、沖縄の祖国復帰闘争碑に刻まれた「喜びを表明するためにあるのでもなく ましてや勝利を記念するためにあるのでもない 闘いをふり返り 大衆が信じ合い 自らの力を確かめ合い 決意を新たにし合うためにこそあり」との碑文を引用し、喜びを表明するのでもなく、勝利を記念するのでもなく、戦いを続ける決意を新たにしました。

安倍首相辞意表明をうけて─喜びでもなく勝利でもなく、戦いを続ける新たな決意を─(令和2年8月28日)

 そして9月の自民党総裁選と首班指名選挙、首相親任、組閣。菅政権が成立します。

 約8年ぶりの首相交代という清新な感覚に加え、地方出身のたたき上げやパンケーキが好きな庶民派といった菅首相のイメージ戦略により、政権発足時には70%前後の絶大な内閣支持率を得た菅政権ですが、花瑛塾は「パンケーキにだまされるな!」として、厳しく糾弾しました。

 すなわち菅政権の実態は、派閥領袖が党内を牛耳り、権力闘争と多数派工作、ポストの分配などの露骨な利益誘導と、党員投票を制限し全国の党員の声を無視して成立した政権であり、こうした政権誕生の内幕は、菅政権が今後、派閥領袖の動向を伺い、また財界など一部の利害関係者の意向を優先し、国民の声を平然と無視する政治をおこなうであろうことを示唆していると指摘しました。

令和2年9月14日 自民党総裁選、菅義偉新総裁に物申す!

 実際、パンケーキだなどと騒がれ、ゆるふわなイメージがあった菅首相ですが、日本学術会議の会員任命拒否問題がその陰湿な政治姿勢を暴露し、後手後手で不十分なコロナ対策によって実務能力にも疑問符がつき、政権発足からわずか3ヶ月で支持率は40%前後に急落し、不支持が支持を上回る世論調査も散見されるようになりました。

今年の全国戦没者追悼式に臨席される天皇、皇后両陛下:毎日新聞2020.8.15

 花瑛塾は菅政権の成立にあたり、この政権を短命で終わらせると決意しています。来年早々にはそれを実現していきたいと考えています。

 コロナ禍で多くの人々が苦境に追いやられていますが、菅政権にコロナ禍を乗り越え、人々の命と暮らし、社会の安定を維持する能力はありません。いや、そもそもそのような気概があるのかどうかも疑問です。

 今年8月の全国戦没者追悼式における天皇陛下のお言葉には、「私たちは今、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、新たな苦難に直面していますが、私たち皆が手を共に携えて、この困難な状況を乗り越え、今後とも、人々の幸せと平和を希求し続けていくことを心から願います」との一節がありました。異例のお言葉です。

 私たちはこの天皇陛下のお言葉を胸に刻み、天皇陛下のお心をわが心とし、コロナ禍を乗り越えていく必要があります。

 そのためにも無為無策無能の菅政権を倒さねばなりません。

イラン、香港、そしてアメリカ

 国際情勢も大きく動いた一年でした。

 特に年の初めには、米トランプ政権がイランのイスラム革命防衛隊幹部を殺害し、全世界に緊張が走りました。また5月、6月には中国習近平指導部による香港への国家安全法の適用をめぐる激動があり、11月にはバイデン次期大統領が米国大統領選を制しました。

 トランプ政権によるイラン敵視政策の強まりの中で、花瑛塾はかねてよりトランプ政権の一方的なイラン核合意の離脱を非難し、ただちにイランへの不必要な制裁等の敵視政策を停止し、核合意に復帰するべきだと訴えるとともに、日本政府はトランプ政権の提案する対イラン「有志連合」に参加してはならないと訴えていました。

 そうしたなかでのトランプ政権によるイスラム革命防衛隊幹部の殺害と、これをうけた日本の中東沖への自衛隊派遣について、強く抗議しました。

【高まる米国・イランの軍事的緊張】日本は中東沖への自衛隊派遣を撤回し、非軍事・平和外交による「戦わないための戦い」を全力で戦おう

 香港情勢については、花瑛塾亜細亜倶楽部として令和元年(2019)9月に香港に渡り、逃亡犯条例をめぐるいわゆる「反送中」「林鄭下台」運動を間近で見た経緯もあり注視していましたが、今年に入り習近平指導部は香港への国家安全法制の導入を策動し、香港の高度な自治の解体と一国二制度の根本的な変更に乗り出しました。

 花瑛塾は香港情勢をめぐり、習近平指導部に対し、香港市民が香港の自治をおこなう「港人治港」「一国二制度」という鄧小平が提示した香港返還の大原則を守るべきだと強く訴えました。習近平指導部は、一時の功名による香港回収やこれへの対抗という両国の衝突を避けた鄧小平とサッチャーのステーツマンとしての矜持を学び、香港の高度な自治の原則をあくまで尊重することにより、後世における名誉と香港の安定と発展という実利を得るべきです。

 習近平指導部による香港の高度な自治の解体と一国二制度の変更にあらためて抗議します。

中国政府による香港への国家安全法制導入に抗議する─「港人治港」「一国二制度」の大原則を守れ─

 米国大統領選挙では現職のトランプ大統領が敗北しました。来年早々にはバイデン次期大統領が新大統領に就任、バイデン政権が成立します。

 花瑛塾は、この大統領選挙によって米国のみならず世界に分断と対立と差別をばらまき続けたトランプ大統領を信任せず、バイデン次期大統領をニューリーダーに選んだ米国の民主主義の底堅さと不滅の輝きを思い知りました。

 今回の米国大統領選挙をまるで混乱した選挙であり、米国の民主主義の破綻を示したかのように喧伝する勢力もいましたが、それは全く事実と異なります。今回の米国大統領選挙は非常に安定した選挙でした。

 安倍政権の超長期政権化を許し、さらにそこから安倍政権の劣化コピーである菅政権を誕生させた一見落ち着いたように見える日本の民主主義こそ混乱と破綻の極致にあります。つまらぬ反米意識で米国の民主主義を愚弄する前に、自国の民主主義のお寒い状況をこそ総括するべきではないでしょうか。

米国大統領選挙の結果とバイデン次期大統領について(令和2年11月8日)

 戦後神社界を代表する言論人である葦津珍彦は「新しい国際情勢の転回に際して新しい決断を下すことこそ維新だ」と述べています。

 「維新」を名乗りながら新しい国際情勢の転回に際して新しい決断を下さず、インバウンドだカジノだ都構想だと古い決断にこだわり続けている勢力もいますが、花瑛塾は新しい国際情勢の転回に際してその本質を見抜き、動くものと動かざるものを見極め、新しい決断を下すことのできる維新派たらんと決意するものです。

恋しうちなぁ

 これまで毎年一年の半数近い日数を沖縄で過ごし、基地問題等の活動に取り組んでいた花瑛塾ですが、今年は年の初めこそ沖縄訪問が叶ったものの、4月以降は沖縄を訪れることができませんでした。

 コロナの感染拡大防止のため当然のことですが、やはり残念でなりません。「恋しうちなぁ」との思いを抱きながら過ごした一年でした。

コロナ禍で強行された宮古島の陸自ミサイル部隊編成完結式:QABニュース「Qプラス」 2020.4.7

 しかし例えば沖縄の北部訓練場返還地の米軍廃棄物問題について、現地で廃棄物の調査などができない分、例えば防衛省を訪れ担当者に要望することを検討するなど、本土でできることは何かを模索した一年でした。

 また現在、南西諸島への自衛隊配備が進められるなかで、沖縄では宮古島や石垣島が自衛隊の巨大なミサイル基地になろうとしています。さらに岸防衛相は長射程の新型ミサイルの開発を進めると発言していますが、この長射程の新型ミサイルも南西諸島に配備されるといわれており、中国本土を射程圏内におさめることになります。

 宮古島や石垣島のミサイル基地化は、中国と緊張を強める米国の戦力の補完という意味があり、自衛隊が米軍の二軍としての性格を強めるだけでなく、米軍基地の基地負担を強いられる沖縄に、さらに自衛隊の基地負担がのしかかります。

 宮古島や石垣島のミサイル基地化は、本土においてほとんど話題になっていません。理解もされていません。辺野古新基地建設に反対したり、日米安保の見直しを訴えている左右の人々でも、おそらく南西諸島への自衛隊配備の現状やその本質を正しくは理解できていないはずです。

 そのような本土と沖縄の温度差や本土の問題性は、やはり本土にいてこそ痛感するものであり、また本土においてこそ訴えるべき課題だと思います。

 沖縄を訪問することは今しばらく叶いませんが、だからこそ考えるべきことは何か、できることは何か、追及してきたいと思います。

沖縄人の涙が分かるか

 今年12月でコザ騒動から50年を迎えました。テレビや新聞などでコザ騒動が特集され、注目が集まりました。

 コザ騒動の現場を取材したラジオのテープには「沖縄はどうしたらいいのか、沖縄人は人間じゃないのかバカヤロー、沖縄人の涙が分かるかお前らは」というコザの市民の怒りとも悲しみともいえない叫びが収録されています。

コザ騒動で現場を警備するMP:琉球新報2020.12.20

 沖縄はどうしたらいいのか、沖縄人は人間じゃないのか、沖縄人の涙が分かるかとのコザの市民の叫びは、直接的には米軍に向けられたものですが、今あらためて聞いてみると本土に向けられた叫びのようにも思えます。少なくとも、今の本土に突き刺さる言葉です。

 花瑛塾は、このコザの市民の叫びを現代においてしっかりと受け止めたいと思っています。

 安倍政権で沖縄基地問題を担っていたのは当時官房長官であった菅首相です。菅首相は、亡くなった翁長前知事が沖縄戦以来の沖縄の基地負担の経緯を切々と説明しても、「歴史の話を持ち出されても困る」「戦後はみんな苦労した」と一蹴しました。まさしく「沖縄はどうしたらいいのか、沖縄人は人間じゃないのかバカヤロー、沖縄人の涙が分かるかお前らは」とやりきれない叫びをぶつけたくなるような人物です。

 同時に、沖縄の基地負担軽減を主張し、沖縄の人々の涙が分かるかのようなことをいいながら、その実は古色蒼然としたイデオロギーを振りかざし、政治闘争の場として沖縄を利用している左右の人たちもいます。

 花瑛塾はそうしたものに与せず、また屈することなく、沖縄の人々の涙が分かり、沖縄の人々とともに涙する存在でありたいと思っています。

 今年一年の皆様のご厚誼ご厚情に御礼申し上げますとともに、新しい年においても皆様のかわらぬご厚誼ご厚情、ご指導ご鞭撻と叱咤激励、そして憂国の厳正批判をたまわりたくよろしくお願い申し上げます。

令和元年の終わりに