『戦争孤児たちの戦後史 1 総論編』(吉川弘文館)の共編著者であり、沖縄戦研究者として名護市史の編纂などにも携わった川満彰さんを講師とした講座「戦争孤児の実態から学ぶ沖縄戦」(主催:沖縄県平和委員会)がオンライン形式で開催され参加し、川満さんより「沖縄戦で生まれた戦争孤児─戦場の童・艦砲ヌ喰ェ残サー─」と題するお話を伺いました。
沖縄戦では多くの子どもが犠牲となりましたが、当然生き残った子どもたちもいます。しかし、そうした子どもたちの両親も無事だったとは限らず、少なくない数の子どもたちが戦争孤児となりました。
彼らは親戚や孤児院に引き取られるなどしましたが、統治者であった米軍は孤児院に食糧の提供はするものの積極的な監督をするわけでもなく、また琉球政府など行政が孤児たちの保護や調査を十分にするわけでもなく、孤児たちは戦後長く苦しい生活を余儀なくさせられました。
また親戚や孤児院に引き取られることもなく、全くの孤児、いわゆる「浮浪児」となってしまった子どもたちも大勢いましたが、彼らに対する保護や調査も行われず、彼らはやむなく犯罪行為に手を染めて日々を生き抜かざるをえない状況に追いやられました。
事実、沖縄戦により犠牲となった子どもたちの総数は正確にはわかっておらず、また戦争によって生まれた孤児の総数も正確には把握されていません。こうしたところに戦時下での子ども、あるいは戦後における孤児たちがいかに社会的に軽視されてきたかがあらわれていると思います。