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令和3年3月17日 「海の帝国琉球─八重山・宮古・奄美からみた中世─」(国立歴史民俗博物館特集展示)

 国立歴史民俗博物館の特集展示「海の帝国琉球─八重山・宮古・奄美からみた中世─」を見学しました。

 八重山諸島と宮古諸島は、現在の沖縄県の一部であり、近世以降は琉球王国の領域でもありましたが、中世の八重山・宮古には、例えばサンゴの石を積んで囲った沖縄島では見られない独特の集落があったり、そこから沖縄島ではあまり見ないタイプの中国製の陶磁器が見つかり、中国との直接交易があったことを伺わせるなど、中世の八重山・宮古は言語や習俗、交易などにおいて沖縄島とは異なる独自の文化圏であったと考えられます。

 また中世の日本の地図は八重山・宮古について詳細に記していませんが、アジアに進出してきたヨーロッパ人の地図には、八重山・宮古についても記されており、そうした地図からは八重山・宮古が南に向かって開かれた地であることを示しています。

 また奄美も近世において琉球王国の領域に組み込まれますが、中世においては独自の地域であり、都の貴族たちにとってはある種の「外国」でしたが、鎌倉幕府の御家人で後に北条氏の得宗被官としてこの地を所領とした千竃氏の書状を見るとそこには明確に「内」の意識があったりと、境界領域が奄美であったということができます。

 こうした遺跡や出土品、地図、文書、絵画などの中世の八重山・宮古・奄美をめぐる資料から、琉球・沖縄そして日本と世界の歴史に思いを馳せました。

 特集展示「海の帝国琉球─八重山・宮古・奄美からみた中世─」の展示期間は、3月16日から5月9日までとなっています。途中、展示替えなどもあるようです。ぜひご見学下さい。

歴博特集展示「海の帝国琉球─八重山・宮古・奄美からみた中世─」