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令和3年3月23日 映画「生きろ 島田叡─戦中最後の沖縄県知事」(佐古忠彦監督)

 ユーロスペース(渋谷)で公開中の映画「生きろ 島田叡─戦中最後の沖縄県知事」(佐古忠彦監督)を鑑賞しました。

 映画では、昭和20年1月、凄惨な地上戦が始まる直前に沖縄に県知事として赴任した島田叡を取り上げ、「軍官民共生共死の一体化」を訴える日本軍に協力し、県民にも決起戦闘を訴える一方で、県民の食料確保や疎開の実施に努め、知事として自身の責任は最後まで軍と運命をともにし死を以て全うしようと考えながら、戦闘下にあって部下や県民には生き延びるよう語りかけ、戦闘終結後の沖縄再建を託すなど、軍の方針との矛盾に悩み、知事という職務と開明的で進歩的な個人としての人間性の相克に苦しみつつも決断を下していく島田知事の姿が描かれていました。

 島田知事については、これまで諸作品で前任の知事である泉守紀が軍に迎合しながらも沖縄を見捨てて逃げたように描かれ、それと対照的に滅私奉公で尽くした人格高潔な人物として位置づけられてきましたが、一方で島田知事が軍に協力し、鉄血勤皇隊の編成などで県民を戦闘に動員したことは事実であるとして、今なおその評価は定まっていませんが、そうしたなかで勇気をもって島田知事を正面から取り上げ、公務と個人としての葛藤などその内面に迫り、証言をまとめたり新しい資料を発見することによって歴史的に位置づけなおした素晴らしい作品かと思います。

 なお佐古監督はTBSのアナウンサーや記者を務め、過去に映画「米軍が最も恐れた男 その名はカメジロー」なども制作しています。

映画「生きろ 島田叡─戦中最後の沖縄県知事」公式サイト

平成29年9月6日 映画『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』

映画『米軍が最も恐れた男~その名は、カメジロー』(監督:佐古忠彦氏)