令和元年11月5日 河野太郎防衛大臣宛要請書手交(北部訓練場返還地における米軍の行動の調査について)
花瑛塾は10月17日、内閣府を訪れ、沖縄の北部訓練場返還地における米軍の行動・動向について調査するよう安倍晋三内閣総理大臣宛の要請書を手交しましたが、この日、防衛省を訪れ、同様の趣旨の要請書を河野太郎防衛大臣宛に手交するとともに、防衛省側の説明・回答を確認しました。
手交した要請書は、以下の通りです。
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要 請 書
平成二十八年十二月、沖縄県東村および国頭村にまたがる米海兵隊演習場「北部訓練場」の一部、約四千ヘクタールが米国政府から返還されました。
これをうけて沖縄防衛局は、一年程度の時間をかけ、返還地に残置された米軍の廃棄物などについて調査し、撤去を行った上で、平成二十九年十二月に地権者に土地が引き渡されました。
しかし、それ以降も返還地では、米軍のものと見られる銃弾の空包や薬きょう、ドラム缶など多数の廃棄物が発見されています。これら廃棄物はその都度、発見者が沖縄県警や沖縄防衛局に通報し、それらの機関が回収、撤去しています。
返還後も発見される米軍の廃棄物の問題は、沖縄地元紙などでも報じられている他、最近では返還地が世界自然遺産登録の推薦区域となっていることから、環境問題としても問題視されており、国会質疑などでも取り上げられています。
そうしたなか、九月二十九日、北部訓練場返還地のうち国頭村安田のLZ─1といわれるヘリパッド跡において、米軍のものと見られる未使用弾が多数発見されました。また中身が残っているなど食事後に廃棄したばかりと見られる野戦食の袋も発見されました。
なお、発見者は、七月にもLZ─1ヘリパッド跡に立ち入っており、その時点では未使用弾も野戦食の袋も廃棄されていなかったことを確認しています。
同じく返還地の国頭村安田のLZ─FBJヘリパッド跡においても九月十七日、多数の未使用弾が発見されています。
九月四日には、LZ─FBJヘリパッド跡において、米海兵隊UH─1ヘリの離着陸が確認されています。米軍提供施設ではない返還地に米軍ヘリが離着陸するなど言語同断ですが、こうした状況を考えると、米軍は返還地に立ち入り、演習など何らかの訓練のために使用している可能性が考えられます。
米軍が組織的に返還地に立ち入ったり、使用していないとしても、米兵個人が正当な理由なく返還地に進入し、火薬が充填されている未使用弾や野戦食の袋を廃棄することは、相応の法律に抵触する犯罪です。
こうした状況を踏まえ、次の点を要請します。
記
一、北部訓練場返還地への米軍の立ち入り、使用について適切な調査をすること。
一、北部訓練場返還地における米軍の廃棄物について、あらためて調査し、撤去など必要な措置を取ること。
以上
速やかなる対応をお願いします。
令和元年十一月五日
花瑛塾 塾長 仲村之菊
防衛大臣 河野太郎 閣下
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要請事項のうち、「北部訓練場返還地への米軍の立ち入り、使用について適切な調査をすること」についての防衛省の回答は、
米軍からは今回空包などが発見された返還地では訓練を行なったという報告は受けていないという回答を得ています。
というものでした。
また、要請事項のうち、「北部訓練場返還地における米軍の廃棄物について、あらためて調査し、撤去など必要な措置を取ること」についての防衛省の回答は、
沖縄県における米軍施設・区域の返還にあたりましては、防衛省において跡地利用特措法第8条に基づきまして、返還地の有効かつ適切な利用が控えられるよう、土地所有者などへの引き渡し前に土壌汚染調査等の支障の除去を講じています。北部訓練場返還地におきましても、返還地全域を対象とした土壌汚染調査を行いまして、支障除去の内容を土地所有者及び関係機関へ説明した上で、土壌汚染調査や廃棄物処理等を実施致しました。更に、土地の引き渡し後におきましても、返還地から発見された廃棄物については、当省において回収し、必要に応じて土地所有者等、関係者と調整の上適切に処分してきているところです。今後も新たに廃棄物等が発見された場合には跡地利用に支障がきたすことがないよう土地所有者及び関係機関と調整し、適切に対応して参ります。
というものでした。
その他、防衛省側との話し合いのなかで確認したこととして、今年9月4日のLZ─FBJヘリパッド跡で米軍ヘリが離着陸したことについては、「離着陸翌日に米軍から『訓練での離着陸ではなく、操縦者の間違いによる離着陸である』との趣旨の連絡をうけた」というものでした。
一方で、同じく9月29日にLZ─1ヘリパッド跡で米軍のものと見られる未使用弾が発見された事実について、防衛省は、「防衛省としてそれを承知しているのか」、「米軍に未使用弾が放置されていたという事実関係を確認したのか」という私たちの質問に明確に答えようとせず、ただ「米軍からは今回空包などが発見された返還地では訓練を行なったという報告は受けていないという回答を得ています」とだけ延々と繰り返すばかりでした。
恐らく防衛省側は、返還地で米軍のものと見られる未使用弾が発見されたことについて、米軍に事実関係の確認を求めていないか、もしくは防衛省そのものがそうした事実を把握していないのかもしれません。これは非常にゆゆしき問題です。
自衛隊員一人一人は防衛大臣の指揮のもと、被災地での救援や支援など住民のために過酷な任務に励んでいますが、同じく防衛大臣を長とする防衛省は、返還地の土地所有者はじめ北部訓練場の周辺住民が米軍の存在に恐怖を感じても、具体的に何もしようとしない組織と思われても仕方ないのではないでしょうか。
引き続き北部訓練場や返還地における米軍の行動・動向については問題視していきたいと考えています。