平成30年12月8日 花瑛塾行動隊街頭行動(大東亜戦争開戦の意義を問い直す)

 花瑛塾行動隊は対英米開戦から77年の8日、都内一円にて、大東亜戦争と呼称された先の大戦の開戦の意義を問い直す街頭行動を展開しました。

 昭和16年(1941)12月8日未明、日本陸軍第25軍はマレーシア・コタバル海岸に上陸し、英軍と交戦状態に突入しました。その数時間後、日本海軍機動部隊はハワイ真珠湾の米艦隊を攻撃しました。先行する中国戦線も含め、ここに英米蘭などの国と「大東亜戦争」と呼称される戦争が開戦されました。なお、この戦争については、最近では歴史学的な立場から「アジア太平洋戦争」などと称される場合もあります。

花瑛塾亜細亜倶楽部として慰霊祭をおこなった日本軍上陸の地コタバル海岸

 開戦の背景には、昭和12年からの日中戦争の行き詰まりと、対日禁輸政策など日米交渉の難航といった危機的情勢があります。東南アジアへの進出により状況の打開をはかった日本ですが、いっそうの世界的孤立を強めていきました。同時に、当時の世界情勢はドイツがフランスを降伏させ、英国およびソ連と戦争状態にあるなど急展開しており、日本は急速に対英米開戦に傾いていったのです。

 対英米開戦時の日本の軍事戦略と終戦構想は、東南アジア一帯を勢力圏とし、重要資源を確保し、ドイツがソ連と英国を降伏させた上で、米国と講和を締結するというものでした。しかし、既にドイツは対ソ戦で敗走を始めており、開戦前において日本の軍事戦略と終戦構想は崩壊していたともいえます。

 それでも開戦された戦争の初期、日本軍は東南アジア各地に進出し、軍政を展開しました。軍政の第一目標は石油などの重要資源の確保と日本への輸送であり、第二目標は現地に展開する日本軍のための物資獲得でした。これにより現地住民の生活や経済に大きな負担をもたらしました。

 日本の終戦構想が東南アジアにおける勢力確保であり、中国戦線のために蒋介石率いる国民党を援助する援蒋ルート遮断が重要戦略に位置づけられるなど、コタバル上陸作戦が真珠湾攻撃に先立つこともふくめ、この戦争は「アジアの戦争」であったということができます。

 事実、日本は昭和18年に大東亜会議を開催し、大東亜共同宣言を発出し、アジア解放とアジア諸国の互恵・平等を宣言します。またそこで、日本を盟主としアジアを従属させる意味合いの強かった「大東亜共栄圏」構想を放棄し、「大東亜同盟」構想ともいうべきアジア諸国の対等・独立を目指します。

 大東亜共同宣言は、連合国による大西洋憲章に対抗する意味もあり、フィリピンやビルマの独立を認めるなど、内容そのものは先進的な価値を有しています。しかしインドネシアの民族主義者スカルノなどは会議に招請されず、また日本はジャワやセレベスといった戦略的要所は日本領とするなど、問題も存在していました。

 ソ連の反撃とドイツの敗走という戦略的の崩壊とともに、真珠湾攻撃では日本海軍潜水艦部隊が何らの成果をあげられず、マレー沖海戦では航空作戦を用い英軍の戦艦を撃沈させながらも、日本軍攻撃機の被弾率が40パーセントを超えるなど、連合軍の防空能力の強さが示され、戦術的な失敗が存在していました。既に開戦前後において、戦局には暗雲が立ち込めていたのです。しかし開戦初期の大勝利のなかで、こうした戦術的失敗は真剣に検討されず、昭和17年6月のミッドウェー海戦での大敗北以降、情勢打開の見込みなき戦いが繰り返されていきます。

 戦況の悪化は、軍政下のアジアにも大きな被害をもたらしました。重要資源を日本へ運ぶ輸送船は、ことごとく連合軍によって撃沈され、アジア諸国の食料や生活用品などの輸送にも支障をきたし、食糧難や生活難が発生します。そして連合軍の逆上陸に備え、軍政下の地域の経済などは全て軍事動員されていきました。こうした日本軍政の反発のなかで、抗日ゲリラ闘争が高まり、独立運動が展開されるなどしました。

 このように先の大戦を対英米開戦というだけでなくアジアの視点から振り返った時、多くの人々の悲劇と痛苦を感じずにはいられません。奇しくもこの日、アジアの人々を傷つけ苦しめている技能実習生制度の問題点を曖昧にしたまま改正入管法が成立しました。今日という日にあらためて私たちの国の「アジアへの視線」を問う必要があるのではないでしょうか。

平成30年12月7日 花瑛塾第16次沖縄派遣団④(日本科学者会議第22回総合学術研究集会)

 花瑛塾第16次沖縄派遣団は7日、琉球大学で開催された日本科学者会議第22回総合学術研究集会の特別講演会に参加しました。

 日本科学者会議(JSA)とは1965 年の創立以来、日本の科学の自主的・総合的な発展を願い、核廃絶など平和・軍縮や環境保全といった取り組みをしてきました。今回の総合学術研究集会は「平和で持続可能な社会を目指して─沖縄から考える─」をテーマに、基地問題や沖縄の環境や社会問題について発表や報告が行われました。

特別講演会の様子

そのなかでの特別講演会は「沖縄に持続可能な社会を築くために」をテーマに、チョウ類研究者の宮城秋乃氏から「高江・安波の米軍ヘリパッド配置地域と北部訓練場返還地における環境問題」と題した報告がありました。

宮城氏によると、沖縄北部の安波ダムは、沖縄の生活用水の約8割を供給するものであり、沖縄全体の水源といえますが、その上空を米軍ヘリが飛行訓練ルート外であるにも関わらず飛行しており、万一墜落事故などが発生した場合、水源に重大な影響が考えられるとのことでした。また北部訓練場返還地では、空包や薬きょうなど、米軍の廃棄物が多数発見されており、環境汚染の懸念が報告されました。

北部訓練場返還地で発見された米軍の廃棄物

政府による辺野古沖埋め立てに関する違法な土砂積込・搬出に抗議しました

 花瑛塾行動隊は7日、昨日に引き続き首相官邸周辺にて政府・沖縄防衛局による琉球セメント桟橋を使用した辺野古沖埋め立てのための作業船への違法な土砂積込・搬出に抗議し、防衛大臣が明言している今月14日の土砂投入について延期・撤回するよう求めました。

 今月3日に開始された琉球セメント桟橋を使用した辺野古沖埋め立てのための作業船への土砂積込・搬出について、沖縄県は桟橋の設置完了の届出が出されていないことや、桟橋周辺に仮置きされた土砂が県の赤土流出防止条例に基づく手続きがなされていないことを指摘しましたが、沖縄防衛局は手続きの踏み倒しや法令解釈の強引な変更によって5日から土砂積込・搬出を再開しました。

 仮に普天間飛行場の唯一の移設先・代替施設が辺野古新基地であるという政府の主張が正当であったとしても、違法な手続きで作業を進めていいはずはありません。沖縄防衛局はこれまでもあらゆる手続きを踏み倒し、法令解釈を強引に変更し、沖縄県の許認可を得ないように工事を進めてきましたが、今回の琉球セメント桟橋を使用した違法な土砂積込・搬出は、まさにその典型例といえます。

 琉球セメント桟橋を使用した土砂積込・搬出について、今後、沖縄県は設置完了の届出に基づく立ち入り検査を行う見込みとなっており、さらに桟橋の目的外使用などの理由で行政指導を行う可能性もあります。たとえ今月14日に土砂投入を強行したとしても、その先の工事の進展は見込めず、残るのは政府への不信と不安、市民の中の分断と断絶ばかりです。

 政府・沖縄防衛局は姑息で卑劣なやり方によって米軍のための基地建設を強行するのではなく、日本の安全保障のこれからはどうあるべきなのか、在日米軍はどの程度必要なのか、沖縄の基地負担はどうしたら解消できるのかなど、しっかりとした国民的議論と理解に基づいた防衛政策を進めるべきではないでしょうか。

 首相官邸周辺での抗議行動は今週はこれで一時中断し、14日の土砂投入に向けた情勢を踏まえつつ、来週10日月曜日より再開する予定です。

首相官邸周辺(内閣府下交差点)での抗議の様子

沖縄防衛局による辺野古沖埋め立てのための違法な土砂積込・搬出作業に抗議しました

 花瑛塾行動隊は昨日に引き続き6日も、政府・沖縄防衛局による辺野古新基地建設に関する辺野古沖埋立てのため、名護市安和の琉球セメント桟橋を使用した違法な土砂積込・搬出について、首相官邸周辺で抗議の声をあげました。

 琉球セメント桟橋については、設置完了の届出がなされておらず、沖縄県が立ち入り検査を求めています。通常であればその間は作業を行わないはずですが、沖縄防衛局は法令解釈の変更と手続きの踏み倒しに終始し、台船への土砂積込・搬出を強行しています。沖縄防衛局の違法な作業に多くの市民が抗議の声をあげており、この日はカヌーを利用した抗議の市民が台船の出航を3時間も阻止したといわれています。

 辺野古新基地とは、違法作業を行ってまで建設しなければならないものなのでしょうか。辺野古新基地について普天間飛行場の移設・代替施設といわれていますが、安倍首相ご自身が普天間飛行場の移設先が辺野古である理由について「本土の理解が得られないため」と国会答弁しています。つまり普天間飛行場の移設先は本土でも構わないが、反対の声が強いだろうから辺野古につくる、と明言しているのです。これについては中谷元防衛大臣や森本元防衛大臣も同様の発言をしており、辺野古に新基地を建設しなければならない軍事的・地理的必然性は存在しません。

 そうであるならば多くの市民の声を圧殺して違法作業を繰り返すのではなく、本当に普天間飛行場の移設先が必要なのか、必要だとしても辺野古でなければならないのか、政府はあらためて検討するべきです。

 内閣府下交差点付近ご通行中の市民の皆様には大きな音でお騒がせをしていますが、7日も引き続き抗議行動を行う予定です。

首相官邸(内閣府下交差点)付近での抗議の様子

琉球セメント桟橋を使用した政府による辺野古沖埋め立てのための違法な土砂積込・搬出作業に抗議しました

 花瑛塾行動隊は5日、昨日に引き続き総理大臣官邸周辺(内閣府下交差点)において、政府による琉球セメント桟橋を使用した辺野古沖埋め立てのための違法な土砂の積込・搬出作業に抗議しました。また総理大臣官邸周辺での抗議行動後、米大使館周辺にて、日米安保体制に基づいて基地を提供され使用する米国もまた沖縄基地問題の一方の当事者であり、違法な工事や民意の圧殺について考える責任があると訴えました。

総理大臣官邸周辺(内閣府下交差点)

 政府は5日、辺野古新基地建設に関する辺野古沖の埋立工事のため、名護市安和の琉球セメント桟橋を使用し、埋立用土砂の作業船への積込・搬出作業を開始しました。この作業は3日午後、沖縄県が手続きの不備や違法性を指摘したため中断していましたが、政府が沖縄県に通知している今月14日の土砂投入に向けて再開されたものと思われます。

 そもそも沖縄県は、政府が3日に開始した琉球セメント桟橋を使用した作業船への土砂積込・搬出について、桟橋が県の公共用財産管理規則に基づく設置工事の完了届が提出されていないことを指摘し、立ち入り検査を求めていました。また積込・搬出のため桟橋に仮置きされた土砂について、県の赤土流出防止条例に基づく手続きが取られていないことから、作業停止を求めていました。

 ところが政府は、琉球セメントが桟橋の設置工事の完了届を提出したことと、仮置きした土砂は使用せず、別の場所から土砂を桟橋まで運び込み、作業船に積み込めば赤土流出防止条例に基づく手続きは不要と判断し、今日5日から作業を再開させました。

土砂積込・搬出作業の違法性を指摘するデニー知事(琉球新報2018.12.4)

 こうした政府の措置は、沖縄県の求める要求を充たすものではなく、違法であるといわざるをえません。沖縄県が求めていた桟橋の立ち入り検査も行われておらず、立ち入り検査を前提とする桟橋の使用再開の許可も出ていません。また仮置きした土砂はそのまま放置されているため、他の場所から土砂を運搬して作業船への積み込みを行ったとしても、いずれにせよ赤土流出防止条例に基づく手続きが必要であるはずです。

 政府は辺野古新基地建設に関し、これまでも強引で身勝手な法令解釈を行い、違法な手続きで工事を進めてきました。それは政府が辺野古新基地建設について、違法行為を重ねてしか進めることができない状況に追い込まれていることを示しています。政府は土砂投入により沖縄県民の中で「諦めムード」が醸成されることを狙っているようですが、むしろ政府内にこそ「諦めムード」が漂う状況であるはずです。

 沖縄県は公共用財産管理規則に基づき、政府の作業の違法性を確認し、これまで以上の厳しい指導を行い、土砂の積込・搬出、そして今月14日に予定されている辺野古沖への土砂投入を何としてでも阻止するべきです。またそのためにも沖縄のみならず全国でデニー知事を支える必要があるのではないでしょうか。

 明日6日もまた総理大臣官邸周辺にて、微力ながら全力で引き続き抗議行動を行う予定です。

政府による辺野古新基地建設のための民間桟橋を使用した違法な土砂搬出作業に抗議しました

 政府は3日、辺野古新基地建設に関する埋立工事の土砂投入のため、沖縄県への必要な許可・申請手続きを行うことなく、名護市安和の民間桟橋を使用した作業船への土砂の搬出作業を行いました。

 政府は当初、埋立工事用の土砂を沖縄・本部港(塩川地区)から搬出する予定であり、それは法令に基づいた工事計画ともなっていましたが、本部港が台風により損傷し使用が困難になったため、これまで土砂投入の見込みが立っていませんでした。そこで政府は昨日、本部港から数キロ離れた琉球セメントが所有する桟橋から土砂の搬出を行いました。

民間桟橋での土砂搬出作業(中日新聞2018.2.4)

 これについて沖縄県は、必要な手続きが取られていないとして作業の停止を求め、昨日午後には作業が停止しましたが、政府は依然として今月14日に辺野古沖に土砂を投入する考えを変更していません。こうした政府の強硬姿勢の背景には、とにかく土砂投入を行い、「埋め立て」という既成事実を無理やりに創出し、来年2月に予定されている県民投票の前に「諦めムード」を醸成する考えがあるといえます。

 実際には、辺野古新基地の護岸工事は辺野古沖側しか完成しておらず、それすらもいま以上にかさ上げ工事を行う必要があり、充分なものではありません。また大浦湾側の護岸工事はほぼ手つかずであり、工事は全体としてほとんど進んでいないともいえますが、ごく一部でも海が埋め立てられれば、確かに「もう手遅れかも」というような雰囲気が生まれてくることでしょう。また土砂投入が辺野古沖・大浦湾の貴重な自然に多大なダメージを与えることは間違いありません。

 政府はこれまで辺野古新基地建設に関して、工事手続きにおいて沖縄県の許可を得ることがないよう、ひたすら法令解釈を捻じ曲げ、あるいは無視し、違法工事を繰り返してきました。今回の民間桟橋を利用した土砂搬出もその一つといえます。

 花瑛塾行動隊は4日、政府の違法工事に抗議し、土砂搬出・土砂投入を絶対に阻止するため、総理官邸周辺にて抗議行動を行いました。警察官の法的根拠が不明瞭な制止により、反原発運動など市民の抗議の場となっている総理官邸正面の交差点には近づけなかったため、内閣府下交差点において総理官邸に向けて抗議行動を行いました。

総理官邸(前方)での抗議行動

 どのような事態となっても「諦めムード」になってしまえば政府の思うつぼといえます。「不屈」の精神の下、情勢が急展開するなかで少数での行動となりますが、明日も引き続き抗議行動を行う予定です。

平成30年12月1日 花瑛塾亜細亜倶楽部(韓国・ソウル)

 花瑛塾亜細亜倶楽部は1日、韓国・ソウルを訪れ、ソウル市街で開催されている朴槿恵前大統領の釈放などを求める市民の集会・デモを見学しました。

 2年前、韓国では当時の朴槿恵大統領が知り合いの占い師を国政に関与させたなどといった疑惑によって支持率が急落し、退陣を求める市民による大規模な運動が発生しました。結局、韓国国会で弾劾訴追が可決され、朴槿恵政権は瓦解しました。

 その後、朴槿恵前大統領は裁判にかけられ、有罪・実刑が宣告されましたが、これについて韓国の右派勢力など親朴槿恵派による朴槿恵前大統領の釈放などを求める集会・デモがソウル市街で行われ、現在まで続いています。

 花瑛塾亜細亜倶楽部は、政権を倒した韓国の市民の高い政治意識と躍動する民主主義など、アジアのダイナミズムをこの目で見るとともに、SNSなどでフェイク情報やデマが拡散され、それがヘイトスピーチなどにつながっている日本の現状を踏まえ、ネットを中心に拡大していった韓国の右派とこれによる親朴槿恵運動の実態を学ぶため、ソウル市街の親朴槿恵派の集会・デモを見学しました。

朴槿恵前大統領の釈放を求める人々

 この日の集会では「朴槿恵前大統領の母親に謝罪をしてきた。何故ならば、助けてあげられずこの様な現政権になってしまい申し訳無いではないか」などと言った演説がされ、デモ隊は「文在寅大統領は退陣せよ」「朴槿恵元大統領を釈放せよ」などとシュプレヒコールを絶叫しながら、韓国国旗と星条旗をなびかせていました。

 彼らの朴槿恵前大統領擁護の主張は、いわゆる韓国の右派の一般的な主張と理解されていますが、集会・デモには「北朝鮮以外の国とは仲良くしたい」と考えている団体が参加したり、「共産国との交流はやめろ」と主張する団体や北朝鮮を激しく非難する団体も参加しているなど、右派も含めていろいろな人々・団体が朴槿恵前大統領の釈放要求の運動を展開しているようです。いずれにせよ、多くの人がネットの誤った情報を鵜呑みにし、マスメディアの情報を信じない傾向が強く、ネットのカリスマ的存在を信奉している様子が伺えました。また朴槿恵前大統領の父親が親米政策をとった朴正煕元大統領であることからか、アメリカへの思い入れが非常に強いように感じました。

 集会・デモの周囲で「no hate」を主張する若者たちの姿も散見されましたが、親朴槿恵派との衝突はありませんでした。ヘイトスピーチをがなり立てる最近の日本の差別団体の運動と、これに抗議する市民の行動にも似た構造を見ることができますが、両陣営とも政府に対しての抗議が中心のようであり、右派は右派、左派は左派の主張に専念し、互いに主張をぶつけ合うことはないようです。過去には両陣営の大きな衝突もあったようですが、現在は警察の監視も厳しく衝突を回避しているようでした。

親朴槿恵派の集会・デモの様子

 朴槿恵前大統領を擁護する運動の参加者は、主に50歳以上の人物が多いように見えましたが、中には若者もいました。彼らに自分たちの運動についての思いや日本など外国への感情を聞いたところ、「私たちはアメリカも日本も台湾も大好きです。自由を勝ち取るために、この運動は必要なことです」とのことでした。

 一方で集会・デモとは関係のない一般の人たちに親朴槿恵派の運動について感想を聞くと、「こんな人達は韓国の恥」「わたしには関係がない」「アメリカは必要だけど、デモ隊の主張は間違っている」「この人たちはいないに等しい」などと、事態を非常に冷静に見た返事が返ってきました。

 このように親朴槿恵派の運動については様々な意見もあり、その実態も複雑ですが、いずれにせよ韓国の市民の政治意識は非常に高いように感じました。実際、イギリスの研究所の調査によると韓国の民主主義指数は日本より高く、三権分立もしっかりと確立していると聞きます。最近、そうした韓国で「徴用工」問題に関する日本企業への賠償を命じる司法判断が下されましたが、この問題に関する過去の経緯を意図的に捻じ曲げ、ただひたすら韓国政府を罵倒しているだけの日本政府の対応を見ると、やはり韓国の民主主義の成熟を痛感します。日本政府はアジアの平和や友好や調和を乱しており、アジアのなかで着実に「お荷物」の政治権力となりつつあるのではないでしょうか。

 その後、ソウル市街で、4年前に発生した大型旅客船「セウォル号」の転覆・沈没事故で亡くなった学生の遺影に献花・黙祷しました。事故では乗員乗客299名が亡くなり、現在でも行方不明の方がいます。

献花所

「神苑の決意」第26号発行しました

 「神苑の決意」第26号発行しました。読者の皆様のお手許には、近日中に届くと思います。

 前号巻頭言では、三島由紀夫氏・森田必勝氏らによる「楯の会」事件48年を記念し、葦津珍彦氏の「楯の会」事件評を振り返るとともに、葦津氏ら終戦直後の神社界の再軍備反対論に見える「建軍の本義」論と三島氏らの「建軍の本義」論を比較し、事件で命を絶った三島氏・森田氏の御霊に捧げました。

 今号巻頭言では、引き続き葦津氏の三島論が取り上げられています。特に三島氏「英霊の声」に対する葦津氏の批評について紹介するとともに、葦津氏のいうアウト・ロウの系譜と日本の右翼の系譜について確認する内容となっています。

 その他、解説においては、先日のロシア・プーチン大統領との日ロ首脳会談における安倍首相による北方領土交渉の方針転換について、その意義と問題点を指摘するなどしています。

 本号各記事の見出しや購読方法など、詳細については当サイト「神苑の決意」もしくは花瑛塾ONLINE STOREよりご確認下さい。

 また「神苑の決意」は、ミニコミ誌を扱う「模索舎」(東京都新宿区)にも納品しており、バックナンバーなども置いていただいております。最新号(第26号)も既に納品済ですので、そちらからもどうぞご購読下さい。

平成30年11月29日 花瑛塾行動隊街頭行動(安倍政権の外交政策を糾弾)

 花瑛塾行動隊は29日、今月12日に沖縄・大東諸島付近で発生したFA18戦闘攻撃機墜落事故など沖縄を取り巻く基地問題や、日ロ首脳会談における安倍総理による北方領土二島返還論への方針転換など、安倍政権の外交政策について問い質しました。

 沖縄県議会は27日、同事故に抗議する意見書と決議を全会一致で可決しました。県議会の意見書と決議では、墜落事故について基地負担軽減の流れと逆行していると指摘しており、米軍の航空機の保守・点検のあり方に疑問を呈しています。

 沖縄施政権返還後、米軍機の墜落事故は50件にのぼり、返還以降年に1度は米軍機の墜落事故が発生していることになります。他の都道府県で、年に1度は米軍機が墜落するような都道府県は存在するのでしょうか。沖縄の基地負担の深刻さは、この例でもわかります。

 また安倍総理はロシア・プーチン大統領との首脳会談で、これまでの北方領土交渉を一転させ、色丹島・歯舞諸島の二島返還論に方針を転換しました。事態が進展しないなか、アプローチを変化させたり、方針を転換させることそのものはありえることですが、それではこれまで政府による四島返還に基づく北方領土交渉とはなんだったのか、総括する必要があります。そして国後島・択捉島の返還の見通しはどうなるのか、明確に説明するべきです。

 特にこの日は、外務省において地位協定などに関するこれまでの持論をかなぐり捨て、増長・変節著しい河野太郎外相を糾弾しました。

外務省前での抗議行動

平成30年11月26日 花瑛塾第16次沖縄派遣団③(北部訓練場)

 花瑛塾第16次沖縄派遣団は26日、米軍北部訓練場返還地(国頭村安田地区など)において、宮城秋乃氏(蝶類研究者)が発見した米軍の空包や薬莢を付近の安田駐在所(沖縄県警名護署)に通報し回収してもらうなど、回収作業を手伝いました。宮城氏はこれまで、同訓練場内ヘリパッド「LZ1」跡地周辺などで多数の空包や薬きょうなどを発見しており、環境汚染や県民生活への危険性を指摘しています。

発見された空包
回収された空包

 沖縄防衛局は北部訓練場返還地にあった廃棄物の撤去や汚染物質の除去を行いましたが、実際には多数の空包や訓練弾、ドラム缶やタイヤ、レーションの残骸などが発見されるとともに、DDTによる土壌汚染が判明するなどしています。返還地を大人数で入念に探すのではなく、一般的に自然を探索していても難なく発見されるのであり、沖縄防衛局による撤去・除去作業とはどのようなものであったのか、疑問が湧きます。

空包について警察に相談する宮城秋乃氏(左)

 一帯は「やんばる国立公園」として国立公園に指定されていますが、それでもなお基地返還地の実情はこうした状況です。沖縄での米軍による環境破壊などを調査しているジョン・ミッチェル氏(沖縄タイムス特約通信員)によると、米軍は沖縄を「太平洋のゴミ捨て場」と呼び、あらゆるものを沖縄の大地や海に投棄し続けました。これによる環境破壊は現在でも問題視されており、その上でさらに沖縄に新基地を建設するなど言語道断といわざるをえず、新基地建設反対と基地返還地や現在の基地の環境状況の調査を求めます。

 また北部訓練場メインゲート前において、基地問題について語りがけを行いました。一部で基地の存在により沖縄の人々の生活が向上しているかのようにいわれていますが、返還されてなお環境問題が残る北部訓練場の実情を踏まえた時、基地の存在が人々に幸せをもたらすことなどあるのか考えるべきです。

北部訓練場メインゲート