平成29年11月25日 第4回自主三島・森田祭(花瑛塾青年・学生寮)

 三島由紀夫、森田必勝らによる「楯の会事件」から47年目の今日、花瑛塾青年・学生寮にて「楯の会事件」においてみずから命を絶った三島、森田を慰霊する第4回自主三島・森田祭を執り行いました。また祭典後、葦津珍彦、真弓常忠ら神道家による三島由紀夫「英霊の声」など三島文学への評論や楯の会事件に関する声明・発言などを参列者全員で読み解きました。

 葦津は三島由紀夫「英霊の声」評にて、日本の忠臣の行動方式を楠木正成に代表される「絶対随順」と、真木和泉守や西郷隆盛に代表される「法外の浪人(アウト・ロウ)」の2種類に類型化し、その上で二・二六事件の決起将校はあくまで「絶対随順」の「正常の武人」「忠誠の臣」であり、最後の最後で勅命に服して原隊復帰したのであるが、それでもなお賊徒とされたため「怨霊」と化したとし、その慰霊の必要性を説きます。また真弓は三島の「人間宣言」理解に異を唱えつつも、自身にも「英霊の慟哭」は聞こえると理解を示しました。

 さらに葦津は、楯の会事件から10日後、事件について発言しています。そこで葦津は、自衛隊は「憲法以後」に新設されたものであり、三島のいう「憲法により屈辱を強いられている自衛隊(武士)」はありえず、三島的精神伝統が尊ぶ日本武士=皇軍は存在せず、三島が懸命に警察・機動隊と自衛隊の峻別をいっても、そこに本質的な差異はないとします。むしろ憲法の問題を解決すべき主体は現憲法以前から存在する民族大衆・国民大衆であり、そうした人々のなかに決起を期待すべきだとし、さらに大衆は三島の悲壮な姿に共感と同情を有したとします。

 花瑛塾は葦津的問題意識を踏まえ、制憲主体である国民とともに憲法を考えるべきと考えます。そして大原則として日本国憲法の歴史的な重みとその先進的な価値を尊重しますが、日本国憲法そのものが憲法改正を保障している通り、憲法条規に基づき改憲自体は否定しません。しかし安易かつ危険な「改正できれば何でもいい」といった改憲論には与せず、改憲論や改憲という行為が戦後憲法下70年のまごうことなき日本の歴史に手をかけるものである以上、改憲を目指す為政者へ三島・森田のごとき「覚悟」を問うものです。

平成29年11月24日 花瑛塾結成1周年記念街頭宣伝行動

 この日、花瑛塾結成1年を記念して、都内一円にて街頭宣伝活動を行いました。

 現在、沖縄県には、普天間飛行場や北部訓練場など、在日アメリカ軍専用施設の約7割が集中し、戦闘機の騒音や米兵犯罪、米軍による土地の強制使用など、過大な基地負担が問題となっています。

 東京にも横田飛行場などアメリカ軍基地はありますが、日本本土のアメリカ軍基地の大半は、国有地など公有地に建設されています。しかし、沖縄県のアメリカ軍基地は、その大半が住民から強制的に土地を取り上げて建設されたものであり、基地の歴史的な経緯が大きく異なります。

 先の衆議院総選挙でも示された通り、沖縄県では基地の返還や基地負担の軽減を求める声が圧倒的ですが、安倍首相は辺野古における新基地建設を強行するなど、沖縄の民意を踏みにじり続けています。

 米兵犯罪も日常的に発生しており、飲酒運転の米兵による死亡事故や性犯罪などが横行しています。

 日米地位協定やこれに基づく日米合同委員会による合意事項によって、日本側による米兵犯罪の捜査や処罰には大きな壁があります。さらに日米地位協定や日米合意によって、日本の刑務所に収容された米兵は、日本人受刑者とは異なる特別待遇が行われています。

 先月10月に沖縄県で発生したアメリカ軍ヘリCH‐53Eスーパースタリオンの炎上・大破事故においても、日米地位協定や日米合意に基づき、日本側による事故の捜査や検証は行われず、アメリカ軍は事故からわずか1週間後には同型機の飛行を再開させました。

 日本はアメリカの植民地ではなく、独立国であり主権国家であるはずです。またアメリカも民主主義国家として、他国の民意を無視し、主権を侵害するようなことはあってはならないはずです。基地問題をはじめ偏った日米関係を是正し、対等で友好的な、新しい、かつ本来的な日米関係を構築する必要があるのではないでしょうか。

 また先月10月、衆議院総選挙が行われ、自民党・公明党が多数の議席を得ました。安倍首相は、自身と身辺におよぶ数々の疑惑や傲慢な態度への批判について「丁寧な説明をする」「謙虚な政権運営をする」といっていますが、早速、首相周辺からは国会質疑について「与党と野党の質疑時間を見直す」「首相の国会への出席を見直す」などといった発言が飛び交っています。

 また安倍首相は、トランプ大統領の来日をうけて、F-35A闘機や新型迎撃ミサイルなどアメリカ製の兵器を大量に購入すると発言しました。その他にも、安倍政権は、1基1千数百億円といわれる地上イージスの導入を目指し、さらに数百億円もの予算をかけて無人航空機グローバルホークを配備する予定といわれています。

 日本の防衛費はいつのまにか5兆円を突破しています。その上でさらに大量のアメリカ製の兵器を買う理由はあるのでしょうか。これらの兵器購入を取りやめるだけで、たくさんの保育所が設置可能となり、給付型奨学金を拡大することができるといわれています。

 こうした安倍首相の軍備拡大は、安倍首相が喧伝する「北朝鮮の脅威」なるものに裏付けられています。しかし、トランプ政権におけるティラーソン国務長官は北朝鮮との対話を模索しており、ボルトン元国連大使も「北朝鮮は脅威ではない」と明言するなど、安倍首相が叫び続ける「北朝鮮の脅威」なるものは本当に存在するのでしょうか。

 もちろん、北朝鮮のミサイル発射や核実験は、国連安保理決議に違反する重大な国際社会への挑戦ですが、北朝鮮のミサイルは宇宙空間を飛翔したのであり、さらにミサイルはアメリカに向けられていると北朝鮮自身が発言するなど、北朝鮮脅威論の根拠は不明です。安倍首相は北朝鮮の脅威なるものを利用し、政権への求心力を高めているだけではないのでしょうか。

 安倍政権が煽り立てる北朝鮮脅威論と、これに基づき突き進む軍備拡大路線は、北朝鮮問題の解決につながらないことは、これまでの北朝鮮外交の経緯が証明しています。

 私たちは、いまこそ安倍政権が進む道に未来はあるのかを考え直し、新たな政治を構築する必要があるはずです。

 以上のことを自民党本部前・首相官邸前・国会前・外務省前・アメリカ大使館前にて訴えた後、ロシア大使館前にて北方領土の返還とこれまでの日ロ外交の全面的な見直し、日ロ両国の新たな友好関係の構築を訴えました。

平成29年11月24日 花瑛塾結成1年「道統の祖」墓参

 24日、花瑛塾結成1年を期して、花瑛塾「道統の祖」墓参を行い、結成よりこれまでの取り組みと今後の決意を奉告しました。

 故人は、昭和初期に東京に生まれ私立大学に進学しますが、終戦直後の混乱の時代にあって中途で退学、その後は渋谷にて青春を過ごし名を馳せるとともに、昭和後期より多くの青少年の指導に当たりました。

 故人の墓は、東京市街を一望できる山麓にあり、いまなお私たちを睥睨しているかのようです。

 無論、私たちは故人の謦咳に接したことはなく、いわば故人の没後の門人です。しかし、故人を思い、慕い、その足跡を学び、その遺志を継承・発展させようという思いは真剣です。

 今後とも墓参や故人に関する事績の顕彰を行っていく予定です。

平成29年11月23日 第34回新嘗を祝ふ集ひ(新嘗を祝ひ集ひ実行委員会)

 第34回「新嘗を祝ふ集ひ」(新嘗を祝ふ集ひ実行委員会)に参加しました。

 新嘗祭祭典の後、稲貴夫氏(元神社本庁総合研究部長)による「御代替はりと大嘗祭」と題した講演を拝聴しました。

 古来より天皇が大嘗祭において奏上する起請文には、年穀の豊穣の感謝と新穀の神供の趣旨を述べるとともに、「自然災害を未然に防ぐこと」、つまり「防災」が祈念の一つとしてあります。

 大嘗祭という天皇の即位における一世一度の新嘗祭における天皇の起請文の主眼の一つが「防災」という点から、災害列島日本の共同体信仰としての神道の発生を見ることができます。

新嘗祭と天照大神の御教え

 明日23日は、宮中および全国各神社で新嘗祭が行われる。新嘗祭は1年の豊穣を予祝する2月の祈年祭と対をなす農耕祭祀であり、収穫祭の一つと考えられます。中国における「嘗祭」が秋における稲の祭儀であるように、新嘗祭は日本の代表的な稲作儀礼であり、その起源は稲作の開始とともにあったと考えられます。さらに、『日本書紀』にも「天照大神の新嘗しめす時」「新嘗の月に当りて、宴会の日を以て、酒を内外命婦等に賜ふ」などとあります。

 もともとは11月の下卯日を祭日としていましたが(三卯あれば中卯日)、明治6年の新暦採用により23日と定められました。新嘗祭では、宮中神嘉殿内に神座・御座を設け、宵・暁と2度、天皇陛下みずから天照大神そして天神地祇に神膳をお供えします。ちなみに、天皇即位後の一世一度の新嘗祭は「大嘗祭」といわれ、天皇みずから天照大神・天神地祇に神膳をお供えするとともに、五穀豊穣と国家国民の安泰、そして災害の予防と国土の安全を神々に起請します。「防災」が天皇即位の一世一度の起請であることは、現代においても重要な意味を持つものでしょう。

 伊勢神宮では10月15日より大切な収穫祭である神嘗祭が執行されます。幕末の国学者・鈴木重胤(1812~63)は、平安時代に編纂された「延喜式祝詞」における祈年祭詞を分析し、この神嘗祭と新嘗祭の連動を指摘したといわれています。先学の指摘によると、重胤は「祈年祭詞」における「荷前者。皇太御神能大前爾。如横山打積置氐、残乎波平聞看。」を典拠に、伊勢神宮の神嘗祭と宮中の新嘗祭の連動した神祇祭祀であることを指摘し、さらに『日本書紀』に見える三大神勅の一つ「吾が高天原の所御す斎庭の稲穂を以て、亦吾が兒に御せまつるべし。」との「斎庭之穂の神勅」をもって、論拠を明確にしたとします。

 つまり、皇祖神は皇孫に神物たる稲穂を授け(「斎庭之穂の神勅」)、皇孫はそれを人民に勧農し、人民はその収穫を貢物として皇孫に納め、皇孫はそれを皇祖神に捧げ(神嘗祭)、また自ら聞食し(新嘗祭)、人民も賜る(節会)という皇祖神―皇孫―人民という三者の関係は、神嘗祭そして新嘗祭という神祇祭祀を通じ現実に具現化するということです。

 平安時代末期から鎌倉時代にかけて撰述された『宝基本記』によると、垂仁天皇26年丁巳冬11月、天照大神が宮中を離れ伊勢神宮に鎮座した直後の新嘗祭の夜、倭姫命は天照大神の託宣として

人ハ乃チ天下之神物ナリ。須ラク静謐ヲ掌ルベシ。心ハ乃チ神明之主タリ。心神ヲ傷ルコトナカレ。神垂ハ祈禱ヲ以テ先ト為シ、冥加ハ正直ヲ以テ本ト為ス。其ノ本誓ニ任リ。皆大道ヲ得シメバ、天下和順シテ。日月精明ナリ。風雨時ヲ以テ。国豊カニ民安カナリ。

云々と告げたそうです。ここに神道における重要な神と人の関係が読み取れるとともに、私たちが生きるべき指針があります。

 現在でこそ天照大神は宮中を離れ、伊勢の地で神嘗祭を執行しますが、ここにおける新嘗祭は天照大神が宮中を離れ伊勢の地に鎮座された直後のものであり、宮中の新嘗祭が伊勢の地で執行されたものと考えられます。そして先学の指摘によれば、伊勢神宮では、神嘗祭の夜、御巫内人が御琴を弾いて天照大神の託宣を賜る「御卜神事」が執行されますが、『宝基本記』における天照大神の託宣は、まさしくこの御卜神事の淵源とのことです。

 新嘗祭の夜、天照大神は「人の本性は神そのものである」「その本性を人は自ら不明としている」「清浄を極め、本性に戻れば天下安穏となる」という御教えを告げられました。私たちは新嘗祭を直前に迎え、自身の本性と神性を知り、それを不明としている汚濁罪障を退け、本性たる神性に至ることにより世界の平和を実現したいと考えます。

平成29年11月19日 埼玉県護国神社清掃奉仕(埼玉縣護國神社清掃奉仕の會)

 この日、埼玉縣護國神社清掃奉仕の會による埼玉県護国神社清掃奉仕活動に参加しました。

 参加者全員で正式参拝後、清掃奉仕活動を行いました。秋を迎え、境内には落ち葉が目立っていましたが、掃き掃除や玉砂利の整備などを奉仕しました。

 埼玉縣護國神社清掃奉仕の會による埼玉県護国神社清掃奉仕活動は、この日で10周年を迎へるとのことです。 清掃奉仕以外にも、みたま祭など埼玉県護国神社で行われるお祭りの準備なども奉仕しています。

 来月23日の天皇誕生日は、埼玉県護国神社では天長祭と餅つきが行われる予定です。

後を絶たない米兵犯罪と米兵犯罪の捜査・処罰・受刑に関する日米密約

 11月19日早朝、沖縄県那覇市の交差点でアメリカ軍兵士が運転するトラックと軽トラックが衝突した。軽トラックを運転していた男性は救急搬送され、その後、死亡が確認された。運転していたアメリカ軍兵士は飲酒運転であり、基準値の約3倍のアルコールが検出されたといわれている。

 先日は、うるま市女性殺害事件の元アメリカ軍兵士の被告の裁判がはじまるなど、アメリカ軍兵士の犯罪(米兵犯罪)が注目を集めている。こうした米兵犯罪は、日米地位協定と日米合同委員会による日米合意によって、捜査・処罰に大きな壁が存在している。例えば、公務中のアメリカ軍兵士の犯罪は日本の法律を適用することができず、日本の警察が逮捕できないなどとなっている。

 米兵犯罪に関する不条理の一例をあげたい。1957年、群馬県内の米軍演習場にてアメリカ軍兵士・ジラードによる日本人女性射殺事件が発生した。いわゆる「ジラード事件」である。事件はジラードによる誤射ではなく、ジラードが女性に声をかけた上で背後から発砲・殺害するという残忍な殺人事件であり、日米の外交問題に発展した他、両国内で政治問題となった。

ジラード事件を報じる当時の新聞(毎日新聞「昭和毎日」)

 事件はおよそジラードによる公務中の出来事とはいえず、日米行政協定(後の日米地位協定)に基づき日本側で刑事裁判が行われたが、ジラードの量刑は懲役3年・執行猶予4年という軽微なものでしかなかった。ここには当時の岸信介政権とアメリカ・アイゼンハワー政権の密約が存在する。

 犯行の悪質さもあり、事件が発生直後より大きな話題となったことはいうまでもない。世論は国内でのジラードの刑事裁判を求めたが、アメリカ側はこれに反発し、日米の外交問題にまで発展する。そして岸首相(外相兼任)は訪米し、ジラードの国内での刑事裁判と引き換えに、軽微な処分を密約したのであった。

 岸首相の思惑は、国内で刑事裁判を行わないと、世論を前にして自己の政権が危うくなるが、過度に対アメリカ強硬論を展開することは、国内の反アメリカ感情を刺激し、反基地運動を助長することになり、ひいては共産主義の脅威に繋がるというものであり、日米密約路線に舵をきったのである。

 他方、アメリカ側にも思惑が存在した。つまりジラード事件は刑事事件ではなく偶発的な事故であり、ジラードが日本で罪なく罰せられてしまうという世論が高まる一方で、この問題を放置すると対日関係を悪化させ、在日アメリカ軍基地の円滑な運用を困難にし、それは自由主義陣営を危うくし共産主義勢力を資するというものである。

 不条理や日米密約によるアメリカ軍兵士への特別待遇は、刑事事件における捜査・処罰だけに留まらない。公務外による犯罪で日本の警察により逮捕され、刑が確定したアメリカ軍兵士の日本の刑務所における処遇すら特別待遇が存在する。元アメリカ軍兵士受刑者は、横須賀刑務支所に収容されるが、そこでは日米地位協定・日米合同委員会による日米合意に基づき、食事・暖房・入浴・就寝時間など、日本人受刑者とは全く異なる特別待遇を受ける。

米兵受刑者と日本人受刑者の刑務所での献立の違い(「しんぶん赤旗」2008年5月17日)

 2006年における衆議院での政府への質問主意書とその答弁や国会質疑では、収容中のアメリカ軍兵士受刑者がステーキなど日本人受刑者とは異なる食事を摂取し、スチーム付きの居室が与えられ、日本人受刑者には週2回前後しか認められていない入浴も、シャワーなどを含めて毎日あるということが明らかとなっている。

 受刑者の人権尊重は当然であり、生活水準の向上も大切なことである。日本の行刑があまりに前近代的であり、受刑者の処遇改善は大切なことであるが、そこに日米の差があってはならない。こうしたアメリカ軍兵士への特別待遇が「何をしても平気」という雰囲気を醸成し、綱紀が弛緩し、つまるところ米兵犯罪の遠因となっていることが想像できる。

 日米地位協定・日米合同委員会による日米合意よると、米兵犯罪は公務中かどうかで捜査・処罰が大きくかわる。また「公務中」でなくとも日米の政治的取引により真っ当な捜査・処罰が行われなかった歴史があることはジラード事件が証明している。さらに受刑者処遇すら歪められ、日本人とアメリカ軍兵士の人権に差別が存在している。そして、そうしたアメリカ軍兵士の特別待遇の影で苦しむのは、何の罪もなく生きる市井の人々であることを忘れてはならない。

平成29年11月12日 2017年史学会第115回大会

 2017年史学会第115回大会に参加しました。

 史学会は明治22年(1889)に創設された学術団体で、日本史、東洋史、西洋史など各方面の歴史家や学生などで構成され、歴史学の学術団体としては日本を代表する団体の一つです。歴史学の研究論文を中心とした学会誌『史学雑誌』の発行や、各方面の1年の研究成果を発表する年次大会の開催などを行っています。

 今大会は11月11日と12日に行われ、1日目は史学会賞の授賞式や公開シンポジウム「ロシア革命と20世紀」などが開催されました。シンポジウムでは和田春樹氏などロシア・ソ連研究の第一人者やヨーロッパ史や中国史の研究者などから報告がありました。

 2日目は古代史・中世史・近世史・近現代史からなる日本史部会、東洋史部会、西洋史部会の各部会の研究発表・報告が行われるとともに、各部会のシンポジウムなどが開催されました。

 特に日本史部会(近現代史部会)では、武藤三代平「駐露公使榎本武揚の情報活動と対外認識の形成」、アン・ジェイク「陸軍の日中戦争解決方案と日米諒解案の作成」、杉本弘幸「戦後失業対策事業・失対労働者における在日朝鮮人」など、現代の諸問題にも通じる研究発表・報告があった他、琉球・沖縄関連として草野泰宏「山県有朋の明治19年沖縄視察について」という発表・報告がありました。

 草野氏の発表・報告は、明治19年(1886)の山県有朋の沖縄視察について、視察に至る過程と政治的背景、そして視察の意義や山県の認識などを明らかにするものでした。従来、山県の沖縄視察について、琉球・沖縄におけるいわゆる「旧慣改革」の問題や対清外交の問題を背景と考えられてきましたが、草野氏はそれのみならずイギリスとロシアの緊張関係とそれが表面化した84年以降の巨文島事件を背景に、山県はじめ政府が対沖認識をあらためたとし、さらに従来軍事的側面からとらえられてきた山県の視察の意義について、内務大臣を務めていた山県による沖縄での殖産や教育整備の面にも光を当てました。

 また近現代史のシンポジウムとして「戦後史のなかの「国家神道」」と題し、山口輝臣氏、藤田大誠氏、昆野伸幸氏、須賀博志氏らによる報告などが行われました。村上重良「国家神道」論が提起されて以来、「国家神道」は様々な語られ方をされてきました。現在も島薗進氏がいわゆる広義の国家神道論を展開していますが、このシンポジウムではその「国家神道」というものの概念の歴史やこれまでの使われ方、議論の方向などを戦後の政治史や宗教史あるいは社会運動史、法制史などから見ていくものでした。

第3次嘉手納爆音訴訟控訴審と1968年嘉手納飛行場B52墜落・爆発事故

 先日7日、第3次嘉手納爆音訴訟控訴審の第1回口頭弁論が開かれた。まさに「爆音」というべき猛烈なアメリカ軍用機の騒音と夜間・早朝の飛行が常態化している嘉手納飛行場(嘉手納町、北谷町、沖縄市)。原審では爆音の違法性と賠償を認めたが、夜間・早朝の飛行差し止め請求については、日本側にはアメリカ軍機の飛行を制限できる権限はないとして認めなかった。

B52撤去を戦うゼネスト(沖縄タイムス社『写真記録沖縄戦後史』より)

 日米合同委員会は1996年、嘉手納飛行場および普天間飛行場における騒音や夜間・早朝の飛行についての規制(航空機騒音規制措置に関する合同委員会合意)を取り決めている。そこでは高推力を得られるものの騒音が発生するアフター・バーナーの使用の自粛や22時から6時までの飛行や地上活動の制限、日曜日の飛行の制限などが定められている。しかし、規制措置の条文には「できる限り行わない」、「最大限努力する」、「最小限に抑える」といった文言がならび、実際は規制はアメリカ側の努力目標に過ぎず、アメリカ側が必要と判断すれば夜間・早朝の飛行も騒音を撒き散らす訓練も行えることになっている。日本政府はアメリカ軍機の爆音を事実上「容認」しているのである。

 1968年11月19日未明、嘉手納飛行場にて米空軍戦略爆撃機B52の墜落・爆発事故が発生した。人命こそ失われなかったものの、爆風により周辺住民や民家にも被害を出すなどした。当時、B52はベトナム戦争にも出撃し、多くの人命を奪っていた。事故と反戦への思いから、これを機にB52やアメリカ軍基地の撤去を求める運動が高揚し、当時は日本「復帰」「返還」などアメリカ軍施政下から脱却を目指す声もさらに高まり、ゼネストなども企図された。そして70年以降、B52はタイに移転することとなり、日本政府は今後のB52の沖縄への飛来を否定する。しかし、沖縄「返還」後のB52の沖縄飛来を「容認」する密約を日米両政府は交わしていた。

B52墜落事故現場の様子(読谷バーチャル平和資料館より)

 50〜60年代、核兵器搭載中のB52の墜落事故やB52からの核兵器落下事故などが世界各地で頻発していた。こうしたなかで発生した嘉手納飛行場におけるB52の墜落・爆発事故が、沖縄の人々を不安に陥れ、怒りに火をつけたことは容易に想像できる。この他、沖縄では、伊江島におけるアメリカ軍による核兵器の低高度爆撃訓練中に発生した模擬核兵器誤射事件や那覇での核ミサイル「ナイキ・ハーキュリーズ」の誤射事故なども発生しており、いつ沖縄で核爆発や放射能汚染が発生しても不思議ではなく、いつか沖縄が核戦争に巻き込まれる可能性があった。しかし、日本政府は沖縄へのB52の飛来も核の持ち込みも「容認」し続けた。

 爆音訴訟で原審は「国側に規制の権限はない」とするが、日米合同委員会で形だけの規制を行い、爆音を「容認」しているのは日本側である。それだけではなく、過去、在日アメリカ軍の無法を「容認」し続けたのも日本側である。オスプレイの事故率も上昇しており、普天間飛行場に配備された時点に比べ倍増している。「なぜオスプレイだけ事故率が上昇しているのか」という記者の質問に対し、小野寺防衛相は「それはアメリカに聞いてくれ」と返答している。この日本側の姿勢に問題があるのだ。運航者アメリカに声を上げるのは当然ながら、日本政府こそ沖縄の基地負担を生み出している原因であり、こうした日本側の姿勢を正したい。

平成29年11月7日 アメリカ・トランプ大統領来日に関する街頭行動3日目

 5日より日本を訪れているアメリカ・トランプ大統領が全ての日程を終えて離日、韓国へ向かうこの日、一昨日・昨日に引き続きアメリカ大使館前にて在日アメリカ軍の縮小・撤退や在日アメリカ兵の綱紀粛正、日米地位協定の見直しなどを訴えました。

 在日アメリカ軍基地の施設提供者は日本側ですが、提供された基地を利用し演習・運用を行うアメリカは、日本におけるアメリカ軍基地のあり方や基地負担の現状について、責任がないとはいえません。トランプ大統領およびアメリカ政府は、日本でのアメリカ軍基地や日米地位協定のあり方についての意見・批判に耳を傾け、見直す必要があるのではないでしょうか。

 さらに日本のアメリカ軍基地の歴史を振り返ると、終戦後から朝鮮戦争時まで、日本「本土」には多数のアメリカ軍基地があり、新基地建設計画なども存在しましたが、それら「本土」のアメリカ軍基地は砂川闘争など反対運動の高まりのなかで沖縄に移転・集約していきました。アメリカ同様、日本「本土」も沖縄の基地負担に無自覚であってはなりません。

 安倍首相は日米首脳会談において、トランプ大統領の要請にもとづき、地上イージスなどのミサイル迎撃システムや軍用機などアメリカ製の兵器を購入するとしています。既に地上イージスの有効性は疑問視されており、欠陥機といわれるv-22オスプレイの購入に引き続き、安倍首相の兵器購入の約束は無意味かつ東アジア各国を刺激する危険なものといわざるをえません。

 北朝鮮の危機を煽ったあげく、アメリカ製の兵器を「押し売り」され、それを購入して得意気になっている安倍首相に、本当に北朝鮮問題を解決する意思はあるのでしょうか。例えば、莫大な予算を兵器購入に使うのではなく、日本はもちろんアジア各国の若者や学生への支援に充てたり、文化・経済交流を推進する予算に充てるだけでも、アジアからの信頼と信用を得ることができ、長期的に東アジアの安全保障環境は変化していくはずです。

 日本政府はトランプ大統領の対北朝鮮強硬外交のお先棒を担ぐのではなく、むしろトランプ政権内部における米朝対話推進勢力であるティラーソン国務長官と議論を重ねるなど、米朝直接対話、そして6カ国協議再開の道を切り開く先導者となるべきです。

 この日、アメリカ大使館は、アメリカ・テキサスにおいて現地時間5日午前11時30分頃発生した銃乱射事件を受けてか、弔意をあらわすために国旗が半旗となっていました。事件の詳細は不明ですが、10月にもラスベガスで銃乱射事件が発生するなど、アメリカ国内では深刻な内部矛盾が進んでいます。そしてトランプ大統領の発言や政策は、人種・宗教・文化などの面で社会の分断を進めているといわれています。トランプ大統領は、アジア各国の関係に緊張をもたらすのではなく、自国の社会的矛盾や分断の融和や再統合に傾注するべきではないでしょうか。