平成29年11月12日 2017年史学会第115回大会

 2017年史学会第115回大会に参加しました。

 史学会は明治22年(1889)に創設された学術団体で、日本史、東洋史、西洋史など各方面の歴史家や学生などで構成され、歴史学の学術団体としては日本を代表する団体の一つです。歴史学の研究論文を中心とした学会誌『史学雑誌』の発行や、各方面の1年の研究成果を発表する年次大会の開催などを行っています。

 今大会は11月11日と12日に行われ、1日目は史学会賞の授賞式や公開シンポジウム「ロシア革命と20世紀」などが開催されました。シンポジウムでは和田春樹氏などロシア・ソ連研究の第一人者やヨーロッパ史や中国史の研究者などから報告がありました。

 2日目は古代史・中世史・近世史・近現代史からなる日本史部会、東洋史部会、西洋史部会の各部会の研究発表・報告が行われるとともに、各部会のシンポジウムなどが開催されました。

 特に日本史部会(近現代史部会)では、武藤三代平「駐露公使榎本武揚の情報活動と対外認識の形成」、アン・ジェイク「陸軍の日中戦争解決方案と日米諒解案の作成」、杉本弘幸「戦後失業対策事業・失対労働者における在日朝鮮人」など、現代の諸問題にも通じる研究発表・報告があった他、琉球・沖縄関連として草野泰宏「山県有朋の明治19年沖縄視察について」という発表・報告がありました。

 草野氏の発表・報告は、明治19年(1886)の山県有朋の沖縄視察について、視察に至る過程と政治的背景、そして視察の意義や山県の認識などを明らかにするものでした。従来、山県の沖縄視察について、琉球・沖縄におけるいわゆる「旧慣改革」の問題や対清外交の問題を背景と考えられてきましたが、草野氏はそれのみならずイギリスとロシアの緊張関係とそれが表面化した84年以降の巨文島事件を背景に、山県はじめ政府が対沖認識をあらためたとし、さらに従来軍事的側面からとらえられてきた山県の視察の意義について、内務大臣を務めていた山県による沖縄での殖産や教育整備の面にも光を当てました。

 また近現代史のシンポジウムとして「戦後史のなかの「国家神道」」と題し、山口輝臣氏、藤田大誠氏、昆野伸幸氏、須賀博志氏らによる報告などが行われました。村上重良「国家神道」論が提起されて以来、「国家神道」は様々な語られ方をされてきました。現在も島薗進氏がいわゆる広義の国家神道論を展開していますが、このシンポジウムではその「国家神道」というものの概念の歴史やこれまでの使われ方、議論の方向などを戦後の政治史や宗教史あるいは社会運動史、法制史などから見ていくものでした。

第3次嘉手納爆音訴訟控訴審と1968年嘉手納飛行場B52墜落・爆発事故

 先日7日、第3次嘉手納爆音訴訟控訴審の第1回口頭弁論が開かれた。まさに「爆音」というべき猛烈なアメリカ軍用機の騒音と夜間・早朝の飛行が常態化している嘉手納飛行場(嘉手納町、北谷町、沖縄市)。原審では爆音の違法性と賠償を認めたが、夜間・早朝の飛行差し止め請求については、日本側にはアメリカ軍機の飛行を制限できる権限はないとして認めなかった。

B52撤去を戦うゼネスト(沖縄タイムス社『写真記録沖縄戦後史』より)

 日米合同委員会は1996年、嘉手納飛行場および普天間飛行場における騒音や夜間・早朝の飛行についての規制(航空機騒音規制措置に関する合同委員会合意)を取り決めている。そこでは高推力を得られるものの騒音が発生するアフター・バーナーの使用の自粛や22時から6時までの飛行や地上活動の制限、日曜日の飛行の制限などが定められている。しかし、規制措置の条文には「できる限り行わない」、「最大限努力する」、「最小限に抑える」といった文言がならび、実際は規制はアメリカ側の努力目標に過ぎず、アメリカ側が必要と判断すれば夜間・早朝の飛行も騒音を撒き散らす訓練も行えることになっている。日本政府はアメリカ軍機の爆音を事実上「容認」しているのである。

 1968年11月19日未明、嘉手納飛行場にて米空軍戦略爆撃機B52の墜落・爆発事故が発生した。人命こそ失われなかったものの、爆風により周辺住民や民家にも被害を出すなどした。当時、B52はベトナム戦争にも出撃し、多くの人命を奪っていた。事故と反戦への思いから、これを機にB52やアメリカ軍基地の撤去を求める運動が高揚し、当時は日本「復帰」「返還」などアメリカ軍施政下から脱却を目指す声もさらに高まり、ゼネストなども企図された。そして70年以降、B52はタイに移転することとなり、日本政府は今後のB52の沖縄への飛来を否定する。しかし、沖縄「返還」後のB52の沖縄飛来を「容認」する密約を日米両政府は交わしていた。

B52墜落事故現場の様子(読谷バーチャル平和資料館より)

 50〜60年代、核兵器搭載中のB52の墜落事故やB52からの核兵器落下事故などが世界各地で頻発していた。こうしたなかで発生した嘉手納飛行場におけるB52の墜落・爆発事故が、沖縄の人々を不安に陥れ、怒りに火をつけたことは容易に想像できる。この他、沖縄では、伊江島におけるアメリカ軍による核兵器の低高度爆撃訓練中に発生した模擬核兵器誤射事件や那覇での核ミサイル「ナイキ・ハーキュリーズ」の誤射事故なども発生しており、いつ沖縄で核爆発や放射能汚染が発生しても不思議ではなく、いつか沖縄が核戦争に巻き込まれる可能性があった。しかし、日本政府は沖縄へのB52の飛来も核の持ち込みも「容認」し続けた。

 爆音訴訟で原審は「国側に規制の権限はない」とするが、日米合同委員会で形だけの規制を行い、爆音を「容認」しているのは日本側である。それだけではなく、過去、在日アメリカ軍の無法を「容認」し続けたのも日本側である。オスプレイの事故率も上昇しており、普天間飛行場に配備された時点に比べ倍増している。「なぜオスプレイだけ事故率が上昇しているのか」という記者の質問に対し、小野寺防衛相は「それはアメリカに聞いてくれ」と返答している。この日本側の姿勢に問題があるのだ。運航者アメリカに声を上げるのは当然ながら、日本政府こそ沖縄の基地負担を生み出している原因であり、こうした日本側の姿勢を正したい。

平成29年11月7日 アメリカ・トランプ大統領来日に関する街頭行動3日目

 5日より日本を訪れているアメリカ・トランプ大統領が全ての日程を終えて離日、韓国へ向かうこの日、一昨日・昨日に引き続きアメリカ大使館前にて在日アメリカ軍の縮小・撤退や在日アメリカ兵の綱紀粛正、日米地位協定の見直しなどを訴えました。

 在日アメリカ軍基地の施設提供者は日本側ですが、提供された基地を利用し演習・運用を行うアメリカは、日本におけるアメリカ軍基地のあり方や基地負担の現状について、責任がないとはいえません。トランプ大統領およびアメリカ政府は、日本でのアメリカ軍基地や日米地位協定のあり方についての意見・批判に耳を傾け、見直す必要があるのではないでしょうか。

 さらに日本のアメリカ軍基地の歴史を振り返ると、終戦後から朝鮮戦争時まで、日本「本土」には多数のアメリカ軍基地があり、新基地建設計画なども存在しましたが、それら「本土」のアメリカ軍基地は砂川闘争など反対運動の高まりのなかで沖縄に移転・集約していきました。アメリカ同様、日本「本土」も沖縄の基地負担に無自覚であってはなりません。

 安倍首相は日米首脳会談において、トランプ大統領の要請にもとづき、地上イージスなどのミサイル迎撃システムや軍用機などアメリカ製の兵器を購入するとしています。既に地上イージスの有効性は疑問視されており、欠陥機といわれるv-22オスプレイの購入に引き続き、安倍首相の兵器購入の約束は無意味かつ東アジア各国を刺激する危険なものといわざるをえません。

 北朝鮮の危機を煽ったあげく、アメリカ製の兵器を「押し売り」され、それを購入して得意気になっている安倍首相に、本当に北朝鮮問題を解決する意思はあるのでしょうか。例えば、莫大な予算を兵器購入に使うのではなく、日本はもちろんアジア各国の若者や学生への支援に充てたり、文化・経済交流を推進する予算に充てるだけでも、アジアからの信頼と信用を得ることができ、長期的に東アジアの安全保障環境は変化していくはずです。

 日本政府はトランプ大統領の対北朝鮮強硬外交のお先棒を担ぐのではなく、むしろトランプ政権内部における米朝対話推進勢力であるティラーソン国務長官と議論を重ねるなど、米朝直接対話、そして6カ国協議再開の道を切り開く先導者となるべきです。

 この日、アメリカ大使館は、アメリカ・テキサスにおいて現地時間5日午前11時30分頃発生した銃乱射事件を受けてか、弔意をあらわすために国旗が半旗となっていました。事件の詳細は不明ですが、10月にもラスベガスで銃乱射事件が発生するなど、アメリカ国内では深刻な内部矛盾が進んでいます。そしてトランプ大統領の発言や政策は、人種・宗教・文化などの面で社会の分断を進めているといわれています。トランプ大統領は、アジア各国の関係に緊張をもたらすのではなく、自国の社会的矛盾や分断の融和や再統合に傾注するべきではないでしょうか。

平成29年11月6日 アメリカ・トランプ大統領来日に関する街頭行動2日目

 本日午前10時過ぎ、昨日に引き続き、アメリカ大使館前にて来日中のアメリカ・トランプ大統領に花瑛塾の主張を訴えました。

 花瑛塾は反米を唱えるものではなく、トランプ大統領の来日に反対したり、来日中の諸日程を妨害する意思はありません。むしろテロ・ゲリラなど不法行為が起きず、アメリカと日本にとって実りある来日となることを祈念しています。

 そのためにもトランプ大統領の発言や政策による社会の分断についての世界的な批判はもとより、在日アメリカ軍基地の縮小・撤去、在日米兵の綱紀粛正、アメリカによる対北朝鮮強硬外交の自制、北朝鮮による日本人拉致事件の政治利用反対、日米核軍縮の実施など、花瑛塾の主張と要望を受け止め、政策に反映して欲しいと考え、アメリカ大使館前で連日行動を展開しています。

 昨日来日し安倍首相とゴルフや会食を行ったトランプ大統領ですが、本日は日米の企業経営者を前にスピーチを行うため、9時頃よりアメリカ大使館に隣接する駐日アメリカ大使公邸を訪れました。その後、天皇陛下の引見を受け、日米首脳会談や北朝鮮による日本人拉致事件被害者家族と面談し、夕食会が行われます。

 本日のアメリカ大使館前での行動中、トランプ大統領の車列が公邸を出て花瑛塾の前方を通過し皇居に向かったため、沖縄県に偏在する在日アメリカ軍基地の撤去と在日米兵の綱紀粛正を強く求めました。

平成29年11月5日 アメリカ・トランプ大統領来日に関する街頭行動

 本日10時40分頃、アメリカ・トランプ大統領が在日アメリカ空軍・横田飛行場(東京都福生市、瑞穂町、武蔵村山市等)に到着しました。トランプ大統領は7日まで滞在し、天皇陛下の引見や日米首脳会談、北朝鮮による日本人拉致事件被害者家族との面会などが予定されています。

 花瑛塾はトランプ大統領来日直前の本日8時より、アメリカ大使館(東京都港区)前にて日米安保体制や在日アメリカ軍、対北朝鮮外交や核廃絶などに関する花瑛塾の主張をトランプ大統領へ訴えました。

 在日アメリカ軍基地は沖縄県に偏在し、その過剰な基地負担が問題視されているとともに、辺野古新基地建設など新たな基地負担の押しつけ・固定化が進められています。戦後間も無くは日本本土にも多数のアメリカ軍基地が立地していましたが、基地反対運動の高まりを受けてアメリカ軍基地は本土から沖縄県へ移転が進められ、現在では全国のアメリカ軍専用施設の約7割が沖縄県に集中しています。

 また、日本本土に立地するアメリカ軍基地の大半は公有地にありますが、沖縄県に存在するアメリカ軍基地は、その大部分の面積が私有地に立地しています。例えば、トランプ大統領が降り立った横田飛行場は、戦前に建設された日本陸軍飛行場をもととし、施設面積のうち公有地が占める割合は99%となっていますが、在日アメリカ空軍・嘉手納飛行場(嘉手納町、北谷町、沖縄市)は、施設面積のうち公有地が占める割合は約10%ほどであり、実に施設面積の9割が民有地となっています。沖縄戦を前にした日本軍第32軍による飛行場建設や沖縄戦時のアメリカ軍による接収、そして「銃剣とブルドーザー」といわれるアメリカ施政権下におけるアメリカ軍による基地建設が沖縄県のアメリカ軍基地の特徴であり、沖縄基地問題とは「本土にも基地はある」といった単純な問題ではありません。

 確かに在日アメリカ軍基地の施設提供者は日本政府ですが、施設を提供され、施設を利用し、演習・運用をするのはトランプ大統領を最高司令官とするアメリカ軍であり、施設提供・利用・演習・運用のあり方に関しアメリカ軍に何らの責任がないわけではありません。トランプ大統領は、基地負担軽減の要求に耳を傾け、飲酒運転や性犯罪など在日アメリカ軍兵士の綱紀粛正をはかるとともに、在日アメリカ軍の整理・縮小・撤退や市街地上空の低空飛行・夜間飛行といった演習・運用の見直しを行うべきです。

 同時に、トランプ大統領は北朝鮮の軍事的挑発に対し空母の派遣や爆撃機の接近などを行い、「全ての選択肢がテーブルの上にある」などと軍事行動をちらつかせ、軍事的・外交的威嚇を強めています。北朝鮮の軍事的挑発は国際社会への重大な挑戦であり言語道断ですが、それによりアメリカの軍事的威嚇が正当化されるわけではありません。米朝の「軍事対軍事」の対決構造は一歩間違えれば軍事衝突を招き、核攻撃の応酬を含む取り返しのつかない全面戦争に突入する可能性があります。ティラーソン国務長官が北朝鮮との対話を模索するなど、トランプ政権内部にも平和外交を追及する勢力が存在しています。トランプ大統領は北朝鮮への軍事的威嚇をただちに中止し、米朝直接対話も視野に入れた平和外交により事態解決をはかるべきです。

 さらにトランプ大統領は北朝鮮による日本人拉致事件の被害者家族と面談する予定ですが、日本人拉致事件を今後の対北朝鮮軍事行動の口実とするならば許しがたいことです。北朝鮮による日本人拉致事件は空前絶後の国家犯罪ですが、これを利用し北朝鮮への軍事的威嚇を強め、まして軍事行動の口火を切ることは絶対にあってはなりません。日本人拉致被害者やその家族は、これまで日朝という国家に翻弄され、あらゆる方面によって政治利用され続けました。トランプ大統領が拉致事件を理由に北朝鮮への軍事行動を開始したとして、はたして拉致事件被害者やその家族は喜ぶというのでしょうか。むしろ自責の念に苛まれるに違いありません。あくまで対話と平和外交のなかで拉致事件をはじめ懸案事項の解決に向かうべきです。

 昨年5月、アメリカ・オバマ前大統領は、広島市の平和記念公園を訪れ、原爆犠牲者の慰霊碑に献花・黙祷しました。原爆犠牲者の御霊は、いささかなりとも鎮められたことでしょう。トランプ大統領は今回の来日直前にハワイ真珠湾を訪れ、「リメンバー・パール・ハーバー」とSNS上で発信しました。トランプ大統領が日本軍による真珠湾攻撃について何事か思うように、私たちにもアメリカによる広島・長崎原爆投下や東京大空襲などの都市空襲といった戦争犯罪に対し深く強い思いが存在しています。この怨讐を踏まえた上で、核兵器の実戦使用国と被爆国であるアメリカと日本こそが、原爆犠牲者の無念に報い、全ての戦争犠牲者の慰霊のため、協調・連携して核廃絶と世界平和の実現に向けて歩みだすべきではないでしょうか。

 花瑛塾はトランプ大統領の来日反対を訴えたり、首脳会談など来日中の諸日程を妨害する意思はありません。むしろ来日中、テロ・ゲリラなどの不法行為が起きることなく、無事に全ての日程を終えて離日することを望みます。来日反対・妨害を企図するならば、来日直前にアメリカ大使館の前で声を上げるようなことはしていないでしょう。アメリカはもちろん、日本にとっても実りある来日となることを祈念してます。

 しかし、トランプ大統領の差別的政策や発言は、社会の分断を助長するものとしてアメリカ国内だけでなく世界的に問題となっています。日本においても各方面・各団体がトランプ大統領来日に関連しそれぞれの主張を述べ、運動を展開することでしょう。花瑛塾もトランプ大統領に対し上記のような問題意識と要求を有しており、トランプ大統領が日本に滞在する7日まで、アメリカ大使館前などで行動を展開する予定です。トランプ大統領には自身への意見・提言・批判・非難・疑心・評価・要求をしっかりと受け止め、今後の発言や政策に反映させることを求めます。

11月3日旧「明治節」と米国トランプ大統領来日について

 今日11月3日は明治天皇の誕生の日であり、明治6年(1873)には天皇の誕生日をいう「天長節」とされ、大正年間は「明治天皇祭」、昭和2年(1927)より「明治節」として祝祭日とされた。現在では日本国憲法公布を祝う「文化の日」とされている。

 明治時代は幕末・維新期の政体転換からはじまり、早急な近代国家建設と不平等条約改正などの対外交渉、数々の政変、複数の海外出兵や対外戦争、憲法発布と国会開設、民衆文化の展開など激動の時代であった。今日の旧明治節という日に、明治という時代を振り返り、よい面も反省すべき面もそれぞれ含めて自国の歴史を学びたい。

 明治27年(1894)に開戦された日清戦争に至るまで、壬午軍乱や甲申事変、天津条約や東学党の乱など、朝鮮半島情勢の展開に関連し日朝・日清関係は悪化していた。この日朝・日清の関係悪化に伴い、日本国内の言論界における対朝鮮観も日を追うごとに悪化、好戦論が多数を占め、朝鮮半島を侵略・制圧の対象と見なす朝鮮観が圧倒していった。

 しかし、一部で朝鮮半島をめぐる一連の事態の平和的解決を模索する思潮も存在していた。例えば、中江兆民は、

外交の旨趣に至りては、務めて好和を主とし、国体を毀損するにいたらざるよりは、決て威を張り武を宣ぶることを為すこと無く、言論、出版、諸種の規条は漸次にこれを寛にし、教育の務、工商の業は、漸次に之を張る、等なり。

(中江兆民「三酔人経綸問答」)

と好戦論や観念的な平和論を退けつつ、現実的かつ平和的な外交のあり方を述べている。兆民以外にも、幕末において日本に進出してきた諸外国が何事にも軍事優先で外交を進めなかったことを取り上げ、朝鮮の状況と当時の日本の状況を重ね合わせつつ平和外交を指摘する向きもあった。

 さて、現在の日本において、軍事的挑発を行う北朝鮮について、様々な意見が存在する。多くの人々が戦争などは望んでいないが、安倍政権は北朝鮮の「脅威」を煽り立てて、「圧力」などと叫び続けている。こうした安倍政権の対北硬論は、アメリカ・トランプ大統領による北朝鮮に対する軍事・外交的威嚇を前提とするものである。

 一方でトランプ政権内部には、ティラーソン国務長官など北朝鮮との対話を模索する勢力も存在する。北朝鮮のミサイル・核といった軍事的挑発が国連安保理決議違反であることはいうまでもないが、その国連安保理自身、安保理議長声明で北朝鮮との対話を呼びかけている。北朝鮮の「脅威」がどの国よりも存在している韓国・文在寅大統領もアメリカによる北朝鮮への攻撃に反対している。

 来週5日より7日までトランプ大統領が日本を訪れ、日米首脳会談などが行われる。日清戦争に至るまで日本言論界が好戦論一辺倒ではないように、トランプ政権内部にも様々な意見があり、むしろ世界的には平和外交の追及が主流であることを踏まえれば、日本政府は「トランプ一択」ともいうべき外交を展開することは妥当かつ合理的なことなのであろうか。むしろ日本政府は、トランプ大統領とは異なる政策・言論を展開する良質なアメリカの政治家や知識人との交流をはかり、さらにヨーロッパやアジア各国の多様な意見に耳を傾ける必要があるのではないだろうか。

 旧「明治節」にあたり、自国の歴史を振り返り、未来を切り開く英知を集めたい。

平成29年10月31日 沖縄戦関係資料閲覧室(内閣府沖縄振興局)訪問

 本日、沖縄戦関係資料閲覧室(東京都千代田区)を訪れました。

 同閲覧室は2002年に開室し、旧沖縄開発庁や内閣府が収集した国などが保有する公文書など沖縄戦関連資料が保管されています

 『沖縄県史』をはじめ沖縄県の各自治体史や沖縄戦に関する一般書はもとより、防衛省防衛研究所や警察庁、厚生労働省、外務省などが保有する公文書、あるいは米海兵隊などが保有する沖縄戦の戦闘記録など、沖縄戦とその前後に関する一次史料が自由に閲覧できます。また映像資料などもあり、こちらも自由に閲覧・視聴が可能です。

 例えば、防衛研究所所有の「独立混成第44旅団独立混成第15連隊本部陣中日誌」には、沖縄防衛の任に就いた日本軍第32軍を構成する独立混成第44旅団混成第15連隊の作戦行動や、混成第15連隊隷下の各大隊の構成や戦闘状況、沖縄北部での展開、さらには日々の兵士の賞罰や食糧の支給状況などが克明に記されているなど、同閲覧室は沖縄戦研究の貴重な場となっています。

花瑛塾会報「神苑の決意」第13号(11月号)発行しました

 花瑛塾会報「神苑の決意」第13号(11月号)発行しました。読者の皆様のお手許には、近日中に届くと思います。

 1面「主張」は10月22日に投開票が行われた第48回衆議院選挙の分析と総括、3面「解説」は10月11日に発生した米軍ヘリ炎上・大破事故について取り上げています。

 その他、本号各記事の見出しや購読方法など、詳細については当サイト花瑛塾会報「神苑の決意」もしくは花瑛塾ONLINE STOREより御確認下さい。

 また花瑛塾会報「神苑の決意」は、ミニコミ誌を扱う「模索舎」(東京都新宿区)にも納品しており、バックナンバーなども置いていただいております。最新号は近日中に納品予定ですので、そちらでもお求め下さい。

 模索舎Webサイト「神苑の決意」紹介ページ

http://www.mosakusha.com/newitems/2017/09/12_15.html

平成29年10月27日 安倍政権糾弾・米軍ヘリ事故糾弾街宣

 花瑛塾行動隊はこの日、首相官邸前・自民党本部前にて国会から逃亡し続ける安倍首相を糾弾しました。

 安倍首相は野党の臨時国会召集要求を無視し続け、臨時国会を召集した途端、衆議院を解散しました。さらに首班指名が行われる特別国会でも事実上質疑はなく、年内は臨時国会を開会しないとのことです。さらに野党の質疑時間の削減を狙うなど、安倍首相の国会逃亡・国会軽視は問題です。安倍首相は解散発表や選挙において「丁寧な説明」「謙虚な対応」を繰り返しましたが、その本質において民主主義を忌避する人物といわざるをえません。

 またこの日、アメリカ大使館前にて在日アメリカ軍ヘリ炎上・大破事故の数日後には事故同型機の飛行を再開させた在日アメリカ軍の無法に抗議するとともに、防衛省前にてヘリ事故の原因究明と再発防止策を徹底させないままアメリカ軍による飛行再開を追認した対応に抗議しました。

 事故原因の究明や再発防止策を徹底しないまま飛行再開を追認することは、同種事故が再び発生する危険性を容認することであり、言語道断といわざるをえません。日米地位協定や日米合意の壁の存在は指摘されていますが、はたして日本側はその壁を解消しようとしているのでしょうか。

平成29年10月25日 安倍政権糾弾・在沖アメリカ軍ヘリ事故糾弾街宣

 花瑛塾行動隊はこの日、アメリカ大使館前・防衛省前にて、11日に発生したアメリカ軍ヘリ炎上・大破事故の背景にある日米地位協定と地位協定に関連する日米合意の見直しと、事故機同型機の飛行再開や低空飛行訓練を我が物で行う在沖アメリカ軍の無法を糾しました。

 アメリカ大使館周辺は、来月5~7日に予定されているアメリカ・トランプ大統領の来日に関連し、厳重な警戒がなされていました。曲がりなりにも一国の元首であり、国賓として天皇陛下による引見を受ける以上、花瑛塾は大統領来日に異を唱えるつもりはありませんが、トランプ大統領は大統領選挙における自身の発言通り、在日アメリカ軍の即時全面撤退を実現する必要があります。

 そして日本政府は、アメリカ国内や世界中に波乱を巻き起こし、次期大統領選挙で再選されるかどうかわからないトランプ政権と運命を共にするのではなく、アジア・ヨーロッパなど各国と連携を取り合い、そして良質なアメリカの政治家や知識人と交流をはかり、第2の外交の道を探るべきです。

 また首相官邸前・自民党本部前にて、選挙にて多数議席を獲得した安倍政権による悪質な改憲発議への警戒を訴えました。安倍政権は憲法9条に第3項も付け加え、自衛隊の設置根拠を明記するといっておりますが、はたしてそのような必要はあるのでしょうか。

 こうした安倍政権の改憲論は、安倍政権自身が吹き上がる北朝鮮「脅威」論を根拠とするものですが、宇宙空間を太平洋にめがけて飛翔する北朝鮮のミサイルよりも、市街地上空を低空飛行するアメリカ軍機の方がよほど「脅威」であるはずです。

 1999年に成立した周辺事態法は、朝鮮半島有事を念頭に置き、日本周辺での有事の際に日本がアメリカ軍を支援する内容となっています。2015年に成立した安保関連法の一つである重要影響事態法は、こうした周辺事態法における「日本周辺」という地理的制約を取り払い、地球の裏側でもアメリカ軍を支援する内容となっています。アメリカ軍を支援することが日本の防衛につながるかどうかは別の議論としても、既に99年段階で日本周辺の安全保障環境は現状に近いものとなっています。

 北朝鮮の軍事的挑発は許されませんが、北朝鮮自身がミサイルはアメリカを目標としている発言しています。こうした北朝鮮の発言そのものが危険であり妥当ではありませんが、少なくとも日本が直接的な危険にさらされているわけではありません。むしろ安倍政権の安易な対北朝鮮強硬外交の方が危険であるはずです。