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令和3年2月17日 戯曲「喜劇人類館」観劇(オンライン配信)

 オンライン配信中の戯曲「喜劇人類館」を観劇(視聴)しました。

喜劇「人類館」の一幕:毎日新聞2021.2.16

 明治36年の大阪で開催された内国勧業博覧会において、「人類館(学術人類館)」において朝鮮出身者やアイヌ、台湾原住民(先住民)、アジア人、アフリカ人とともに沖縄県民が琉球人として「展示」され、国内外から批判を浴びました。これを人類館事件といいます。

 戯曲「人類館」は戦後、知念正真氏が書き下ろし、沖縄以外に本土でも上演され、大きな反響を呼ぶとともに、戯曲賞を受賞するなど大変な評価をうけました。

 今回、知念正真氏の子どもである知念あかね氏が制作・総指揮をとり、上江洲朝男氏が演出し、7年ぶりに戯曲「人類館」が上演される予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の拡大により観客を入れての上演が難しくなったため、無料にてオンライン配信されることになりました。制作陣も役者さんたちも大変残念なことであり、断腸の思いでの決断だったとは思いますが、全国で幅広い人に観劇(視聴)していただくよい機会であるとも思います。

 戯曲「人類館」は時代設定が様々に変転していくことで有名ですが、今回の「喜劇人類館」でも明治後期の人類館事件でありながら「展示」されている沖縄の男女が戦後の米軍統治時代を語ったり、沖縄戦の描写となり、また現代を思わせるセリフまわしがあったりと、より一層時代設定が錯綜し、初見では状況把握が難しいかもしれせん。

 しかし、それによってこそ人類館に「展示」されている男女(無論、男女を監督する同化主義的言説を振りかざしたり、あからさまな差別・蔑視をする調教師風の男も含め)の表象する「琉球処分」から沖縄戦、米軍統治時代を経て現在に至るまでの沖縄の本質的な状況が浮かび上がってくるのであり、人類館そのものが沖縄であることが見え隠れし始めてきます。

 オンライン配信は今月21日までとなっています。ぜひご覧下さい。