沖縄県による辺野古新基地建設岩礁破砕差し止めを求める提訴について

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 今月24日、翁長雄志・沖縄県知事は、沖縄県名護市辺野古崎にておこなわれている在沖米軍辺野古新基地建設護岸・埋め立て工事について、沖縄県の許可を得ないまま施工されている国の岩礁破砕は違法であり、岩礁破砕の差し止めを求めて那覇地裁に提訴したことを発表した。

 沖縄県漁業調整規則第39条によると、漁業権が設定されている漁場内の岩礁を破砕する場合、県知事の許可が必要とされている。本年2月、名護漁協が辺野古崎の漁業権を放棄したことことが判明したが、これにより政府は当該漁場の漁業権は「消滅」したとし、沖縄県知事の許可を得ず岩礁を破砕している。

 沖縄県は訴状において、漁協が漁業権を「放棄」したとしても漁業権の設定は県によるものであり、岩礁破砕において県知事の許可は必要であり、政府による無許可での岩礁破砕は違法であると主張している。同時に、判決までの間、岩礁破砕を中止させる仮処分も申し立てた。

 沖縄県と政府の訴訟は、2015年10月に翁長知事が仲井眞弘多・前沖縄県知事による辺野古崎での公有水面埋め立て承認を取り消したことに関し、15〜16年に代執行訴訟や違法確認訴訟などが戦われた。さらに沖縄県と政府の関係は、国土交通省にる沖縄県への是正指示や沖縄防衛局による申し立て、あるいは沖縄県による国地方係争処理委員会への審査の申立てなど先鋭的な対立となった。一時、代執行訴訟について沖縄県と政府の和解も成立したが、政府は和解条項を破って公有水面埋め立て承認取り消し違法確認訴訟を提起し、16年に最高裁で沖縄県の敗訴となる。

 今回の沖縄県による岩礁破砕差し止めを求める訴訟は、このような複雑な経緯があってのものである。和解破りの政府による公有水面埋め立て承認取り消し違法確認訴訟では、福岡高裁那覇支部判決、そして最高裁判決について、地方自治法の観点や在沖米軍の沖縄駐留についての観点などから厳しい批判もあった。司法による公正な審判と沖縄県の勝訴を祈る。

 同時に、過去の訴訟や政府とのやり取りにおいて、沖縄県は常に政府に誠実な協議を求めており、こうした求めを無視して司法闘争や新基地建設を強行し続けたのは政府であったということは、しっかりと確認したい。

 過去、在沖米軍基地をめぐる沖縄県と政府の訴訟としては、ポスト冷戦における日米安保再定義や「東アジア戦略報告(ナイ・リポート)」や沖縄米兵少女暴行事件という緊迫した情勢下で行われた、1995年の大田昌秀・元沖縄県知事による貸与拒否軍用地主への代理署名拒否に対する職務執行命令訴訟があげられる。代理署名拒否は駐留軍用地特別措置法制定以来初の事態であり、最高裁まで争われた。

 こうした沖縄県の情勢を受けて、1996年、普天間飛行場の辺野古「移設」などを柱とするSACO最終報告が公表されたが、SACO合意の内実は在沖米軍の基地機能強化、基地負担増加・固定化でしかなった。オスプレイ配備、老朽化した在沖米軍施設の更新、辺野古崎での海上滑走路計画など、SACO合意の内容は、すべて「基地負担軽減」のもと、いままさに沖縄で「基地機能強化」「基地負担増加・固定化」として実現されている。

 あれから20年以上の時が経ち、再び沖縄県と政府の法廷対決が始まる。一部ではまるで沖縄県が「わがまま」をいって訴訟沙汰になっているかのような言動が見られるが、そのように沖縄基地問題と沖縄県と政府の訴訟を嘲笑う者には、せめてこの20年の沖縄県と政府のやり取りの経緯、そしてその「重み」を知るべきではないだろうか。

(画像は、差し止め訴訟について記者会見する翁長知事 時事ドットコムニュース 2017.7.24-19:13より)