平成29年7月28日 三島由紀夫研究会7月公開講座

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三島由紀夫研究会7月公開講座「浪漫派詩人伊東静雄」(講師:荒岩宏奨氏)を聴講しました。

伊東静雄は保田与重郎らを中心とする文芸雑誌「日本浪漫派」や「コギト」などで活躍した詩人です。詩集『わがひとに与ふる哀歌』『夏花』などが代表作とされています。萩原朔太郎に絶賛され詩壇に登場して以降、伊東は寡作ながら現代詩人・藤井貞和にも影響を与えるなど、いまにいたるまで大きく評価されています。

三島由紀夫は「日本浪漫派」には直接関わりませんでしたが、後継誌ともいえる「文芸文化」に「花ざかりの森」を投稿するなど、蓮田善明を介しつつも日本浪漫派そして伊東に大きな影響を受け、終生、伊東を評価し続けたといわれています

なお、伊東は「花ざかりの森」の推薦文を依頼されたものの、断ったというエピソードもあります。京都帝国大学を卒業後、大阪府立住吉中学校の国語教師として生涯を過ごした伊東にとって、三島の早熟さや文壇への意識の強さが性に合わなかったようです。

伊東の詩集「わがひとに与ふる哀歌」は、伊東の故郷喪失あるいは故郷忌避といった精神的境地を下地としながらも、強烈な故郷への思い入れが絡み合う内容となっています

公開講座に先立ち、東郷神社(東京都渋谷区)を参拝しました。

同社の御祭神は日露戦争の日本海海戦などで活躍した東郷平八郎元帥です。

三島『豊饒の海』第1巻「春の雪」の冒頭は、松枝清顕と本多繁邦が日露戦争の提灯行列を覚えているかどうかの会話から始まり、日露戦争の慰霊祭の写真に話題が移っていきますが、この写真の存在の“虚偽”“虚飾”を視点に、『豊饒の海』全体の伊東あるいは日本浪漫派的なアイロニーが読み解かれるなどしています。