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令和元年12月20日 KAEI SEMINAR「沖縄『北部訓練場』返還地の現状─返還されてなお沖縄を苦しめる米軍基地の環境問題─」

 この日、チョウ類研究者のアキノ隊員こと宮城秋乃さんを KAEI SEMINAR の講師にお招きし、「沖縄『北部訓練場』返還地の現状─返還されてなお沖縄を苦しめる米軍基地の環境問題─」とのテーマでお話しをお伺いしました。

お話しされるアキノ隊員

 3年前の平成28年12月22日、沖縄北部の東村高江集落を取り囲むように4ヵ所のヘリパッドが建設されたことと引き換えに、米軍演習場「北部訓練場」の過半が日本側に返還されました。

 沖縄防衛局は返還地における米軍が廃棄したとみられるゴミや弾薬類を除去し、その一年後に地権者に返還地を引き渡しました。さらに国は返還地を含む沖縄北部一帯を国立公園とし、世界自然遺産登録を目指しています。

 しかし、毎日のように沖縄北部の森の中に入り希少生物の生態の研究をしているアキノ隊員は、国頭村など北部訓練場返還地で無数の米軍の空包、空薬きょう、照明弾などの弾薬類、使用したばかりとみられる携行糧食などを発見しています。また、返還地のヘリパッド跡に米軍ヘリが離発着するところも目撃するなどしています。

 こうしたことを考えると、沖縄防衛局は北部訓練場返還地の廃棄物除去をまともに行っておらず、ゴミや弾薬など危険なものが大量に残され、環境にも有害な土壌汚染などもある状況で返還地を含む一帯の世界自然遺産登録を進めようとしているといえます。また、北部訓練場の過半が返還されたといっても訓練空域はかわらず、米軍ヘリが四六時中北部一帯を飛び回る状況に変化はありません。それどころか、返還地を今でも演習で使っているとも推測されます。

 米軍基地は返還されたなお、ノグチゲラをはじめとする多数の希少生物が生息する森の自然環境に深刻なダメージを与え、また人々の生活にも今なお影響を与え続けていることを気づかされました。

 講師のアキノ隊員と当日セミナーにご参加いただいた皆様に御礼申し上げますとともに、当方の不手際でセミナー中に機材トラブルでご迷惑をおかけしましたこと、お詫び申し上げます。