関東大震災時、憲兵により虐殺された女性解放運動家でアナキストの伊藤野枝、伊藤と事実上の夫婦関係にあったアナキストの大杉栄、そして大杉栄の甥の橘宗一を弔う墓前祭が「大杉栄之墓」(静岡市・沓谷霊園)にて営まれ、参列しました。
伊藤や大杉らは震災発生後の9月16日、東京憲兵隊に拘引され、憲兵大尉の甘粕正彦らによる激しい暴行をうけた後に扼殺され、憲兵隊の敷地の古井戸に捨てられました(甘粕事件)。
事件は当時においても新聞報道などで話題となり、軍は厳しく批判され、震災への対応により市民から感謝や好意を寄せられていた軍の評価も大きく下がったといわれています。
関東大震災時、軍や官憲により中国人労働者や朝鮮出身者が殺害されたことはよく知られていますが、甘粕事件のように伊藤や大杉などアナキスト、あるいは労働運動家なども組織的に虐殺された事実を語り継いでいきたいと思います。
なお余談ながら、伊藤野枝は代準介を通じて玄洋社の頭山満から援助をうけていたり、戦後神社界を代表する言論人である葦津珍彦は若きころ大杉栄の論著に影響されてアナキズムに関心を持つなど、在野右翼と不思議な接点があります。
また在野右翼の側も震災時の朝鮮出身者虐殺において、虐殺を逃れた朝鮮出身者から助けを求められ、これを匿い守ったという出来事もありました。
私たちも先人の精神を継承し、思想信条が異なるものとも迎合ではなく互いに認め合い、かつ弱い立場にあるものは誰であろうとも守るという正統派でありたいと思います。