チョウ類研究者のアキノ隊員こと宮城秋乃さんがこのほど、沖縄県の国頭村安波や東村高江において、今季のノグチゲラの営巣や親鳥によるひなへの給餌、ひなの巣立ちなど貴重な映像の撮影に成功しました。
国頭村安波でのノグチゲラの巣立ち
東村高江でのノグチゲラの巣立ち
ノグチゲラはヤンバルクイナなどとともに沖縄北部のやんばるの森に生息する希少種で、国の特別天然記念物や絶滅危惧種に指定されている鳥です。
アキノ隊員は以前もやんばるの森でノグチゲラのひなの巣立ちの撮影に成功しています。ただでさえ希少種のノグチゲラのひなの巣立ちの映像は珍しいものですが、1シーズン内に安波と高江の2ヶ所で撮影に成功したというのはあまり例がないことなのではないでしょうか。
特に安波では親ではないと思われる他のメスの鳥がひなを襲ったり、ひなが巣立った後すぐに採餌をするシーンなどが撮影されています。また高江ではオスの親鳥のみがひなの世話をしたり、こちらも親ではないと思われる他のメスの鳥がひなに給餌するような行動をとり、ひなが警戒して巣穴に籠るといったシーンが撮影されています。こうした光景も普段なかなか観察することのできないものです。
一方で安波や高江は米海兵隊の演習場である「北部訓練場」に隣接しており、ヘリパッド建設や飛来する米軍ヘリの騒音あるいは風圧によってノグチゲラなどの希少種に何らかの影響が出ていないか懸念されています。実際に撮影中も米軍ヘリが飛来し、大きな騒音が映像に収録されています。「米軍基地と環境問題」という視点においても非常に貴重な映像といえます。
辺野古新基地建設においてはジュゴンの藻場が破壊されたり、工事の騒音などによってジュゴンの個体は、先日死体で発見されるまでの長いあいだ確認できなくなりました。同じようにやんばるの森では北部訓練場のヘリパッド建設と、それによる米軍ヘリの飛来や演習によりノグチゲラなど希少種に負荷がかかっています。特にオスプレイは高温の熱を排気するため、「やんばるの森が干からびる」ともいわれています。辺野古新基地には多数のオスプレイが配備される予定ですが、そのオスプレイが離着陸を繰り返して演習するのは北部訓練場であり、基地機能としても環境問題としても辺野古とやんばるの森は本質的に同一の問題を抱えています。
ぜひ動画をご覧になっていただき、過酷な環境で生きている希少生物の姿を知って欲しいと思います。