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普天間飛行場の辺野古「移設」論に惑わされるな

 軍用ヘリの炎上・大破や不時着など、普天間飛行場所属のアメリカ軍機の事故が相次ぐなか、普天間飛行場や嘉手納飛行場などにおいて定められている人口稠密地域を場周経路としない航空騒音規制措置や、普天間飛行場における安全対策のために定められた飛行経路制限などから逸脱したアメリカ軍機の飛行が常態化していることが明るみとなっている。

制限された3つの飛行ルートと米軍機の飛行ルートの実態【東京新聞2017年12月15日朝刊より】

 普天間飛行場は市街地のど真ん中に立地するため、アメリカ国内の軍事基地においては設置されている滑走路延長上のクリアゾーン(利用禁止区域)が存在しない。その上で日本の航空法の制限も受けず、アメリカ軍の思うがままの飛行・離発着訓練が行われている。

 さらにハリス太平洋軍司令官が相次ぐ不時着事故について「一番近い安全な場所に降ろす措置に満足している」などと発言したことは、既に触れた通りだ。そのような独善的で甘い認識であれば再び事故が起きることであろう。つまり普天間飛行場は、市街地に立地する飛行場という存在も、そこでの飛行・離発着という運用も、さらに事故への甘い認識も、すべてにおいて危険な軍事基地である。

 そうしたなかで「だから危険な普天間飛行場を、キャンプ・シュワブが立地する辺野古沖を埋め立て、“移設”させるべきだ」という指摘もあるが、これは軍事基地の拡大と基地負担の沖縄への押しつけ・固定化を目論むペテンである。

 現在、辺野古沖で「普天間飛行場移設」という名目のため埋め立て工事が行われているが、これは「新基地建設」に他ならない。「移設」ならば、普天間飛行場は1本の滑走路であるにも関わらず、なぜ辺野古沖を埋め立て2本の滑走路を作ろうとしているのか。なぜ強襲揚陸艦が接岸できる長大な護岸の軍港を作ろうとしているのか。弾薬搭載エリアやヘリパッドは何のために設置されるのか。それは普天間飛行場の「移設」と称され進められている工事は、1960年代よりアメリカ軍が有していた辺野古沖での巨大な基地計画の実現のためであるからだ。辺野古沖で起きている事態は、普天間飛行場「移設」ではなく、「辺野古新基地建設」に他ならないのである。

 危険で最低限の航空安全に関する日米合意すら守られていない普天間飛行場は閉鎖、新たに基地を押しつけ固定化させる辺野古新基地はいらない。単純明快で、誰にでもわかる当たり前の市民的主張である。

軍港やヘリパッドが設けられる辺野古新基地【しんぶん赤旗2014年1月13日より】