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23日放送予定 ETV特集「基地で働き 基地と闘う~沖縄 上原康助の苦悩~」

 今月23日(土)23時~0時、EテレにてETV特集「基地で働き 基地と闘う~沖縄 上原康助の苦悩~」 http://www4.nhk.or.jp/etv21c/ が放送予定とのこと。

 昭和7年に沖縄に生まれた上原康助は、軍雇用員として米軍基地で働く一方、基地労働者による労働組合「全軍労(全沖縄軍労働者組合連合会、後に全沖縄軍労働者組合)」を結成し、初代委員長として基地労働者を率い労働運動に取り組んだ人物である。そして昭和45年より瀬長亀次郎や国場幸昌らとともに沖縄選出の国会議員として衆議院議員を10期務め、北海道開発庁長官や沖縄開発庁長官を歴任し、昨年亡くなった。

復帰40年記念式典で挨拶する上原【朝日新聞2017年8月6日】

 全軍労は、昭和36年に基地労働者の組合の連合組織として出発し、同38年には組合員5800人を擁する単一労組となった。そして同45年頃には組合員2万人を誇り、官公労や沖縄教職員会をしのぐ巨大労働組合と発展していった。

 全軍労が巨大化する背景には、複数の種別の基地労働者を組織化したことがある。基地労働者には布令により第1から第4種までの種別があり、第1種は「米国政府割当資金から支払いを受ける直接被用者」、第2種が「米国政府非割当資金から支払いを受ける直接被用者」、第3種が「琉球列島米国要員の直接被用者」、そして第4種が「契約履行中の米国政府請負業者の被用者」となっている。全軍労は元来ここでいう第1種労働者の組合であったが、退職金制度の獲得など全軍労の運動が結果を出していくにつれ、第2種労働者の組合結成などが進み、全軍労が巨大化していったのである。

 こうした全軍労は同41年、米軍施政権下から脱却し、沖縄の「祖国復帰」を目指す「復帰協(祖国復帰協議会)」に加盟するが、米軍基地で働く労働者の組合として「祖国復帰」を標榜することには困難がつきまとった。さらに「基地撤去」を目指す復帰協の構成体としても、基地を存立基盤とする全軍労にとって「基地撤去」は簡単に主張できるものではなかった。しかし全軍労はその後、米軍による基地労働者の大量解雇反対闘争を展開するなかで、自ら「基地撤去」を掲げて闘争を展開するようになり、復帰協による祖国復帰闘争の主導的団体となっていくのである。

 米軍基地・日米安保・祖国復帰と複雑な状況に置かれた沖縄において、基地で働く者の基地と復帰に対するさらに複雑な思い。そんな彼らのリーダーである上原。

 上原の死後、58冊の未公開ノートが見つかり、そこには基地を命綱としながら基地撤去運動を闘った上原の心情が記されていたという。番組では、上原の人生を追いかけ、そして未公開ノートに記された上原の苦悩に光をあて、沖縄の苦悩に迫ることになるだろう。放映を楽しみにしたい。