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平成30年12月1日 花瑛塾亜細亜倶楽部(韓国・ソウル)

 花瑛塾亜細亜倶楽部は1日、韓国・ソウルを訪れ、ソウル市街で開催されている朴槿恵前大統領の釈放などを求める市民の集会・デモを見学しました。

 2年前、韓国では当時の朴槿恵大統領が知り合いの占い師を国政に関与させたなどといった疑惑によって支持率が急落し、退陣を求める市民による大規模な運動が発生しました。結局、韓国国会で弾劾訴追が可決され、朴槿恵政権は瓦解しました。

 その後、朴槿恵前大統領は裁判にかけられ、有罪・実刑が宣告されましたが、これについて韓国の右派勢力など親朴槿恵派による朴槿恵前大統領の釈放などを求める集会・デモがソウル市街で行われ、現在まで続いています。

 花瑛塾亜細亜倶楽部は、政権を倒した韓国の市民の高い政治意識と躍動する民主主義など、アジアのダイナミズムをこの目で見るとともに、SNSなどでフェイク情報やデマが拡散され、それがヘイトスピーチなどにつながっている日本の現状を踏まえ、ネットを中心に拡大していった韓国の右派とこれによる親朴槿恵運動の実態を学ぶため、ソウル市街の親朴槿恵派の集会・デモを見学しました。

朴槿恵前大統領の釈放を求める人々

 この日の集会では「朴槿恵前大統領の母親に謝罪をしてきた。何故ならば、助けてあげられずこの様な現政権になってしまい申し訳無いではないか」などと言った演説がされ、デモ隊は「文在寅大統領は退陣せよ」「朴槿恵元大統領を釈放せよ」などとシュプレヒコールを絶叫しながら、韓国国旗と星条旗をなびかせていました。

 彼らの朴槿恵前大統領擁護の主張は、いわゆる韓国の右派の一般的な主張と理解されていますが、集会・デモには「北朝鮮以外の国とは仲良くしたい」と考えている団体が参加したり、「共産国との交流はやめろ」と主張する団体や北朝鮮を激しく非難する団体も参加しているなど、右派も含めていろいろな人々・団体が朴槿恵前大統領の釈放要求の運動を展開しているようです。いずれにせよ、多くの人がネットの誤った情報を鵜呑みにし、マスメディアの情報を信じない傾向が強く、ネットのカリスマ的存在を信奉している様子が伺えました。また朴槿恵前大統領の父親が親米政策をとった朴正煕元大統領であることからか、アメリカへの思い入れが非常に強いように感じました。

 集会・デモの周囲で「no hate」を主張する若者たちの姿も散見されましたが、親朴槿恵派との衝突はありませんでした。ヘイトスピーチをがなり立てる最近の日本の差別団体の運動と、これに抗議する市民の行動にも似た構造を見ることができますが、両陣営とも政府に対しての抗議が中心のようであり、右派は右派、左派は左派の主張に専念し、互いに主張をぶつけ合うことはないようです。過去には両陣営の大きな衝突もあったようですが、現在は警察の監視も厳しく衝突を回避しているようでした。

親朴槿恵派の集会・デモの様子

 朴槿恵前大統領を擁護する運動の参加者は、主に50歳以上の人物が多いように見えましたが、中には若者もいました。彼らに自分たちの運動についての思いや日本など外国への感情を聞いたところ、「私たちはアメリカも日本も台湾も大好きです。自由を勝ち取るために、この運動は必要なことです」とのことでした。

 一方で集会・デモとは関係のない一般の人たちに親朴槿恵派の運動について感想を聞くと、「こんな人達は韓国の恥」「わたしには関係がない」「アメリカは必要だけど、デモ隊の主張は間違っている」「この人たちはいないに等しい」などと、事態を非常に冷静に見た返事が返ってきました。

 このように親朴槿恵派の運動については様々な意見もあり、その実態も複雑ですが、いずれにせよ韓国の市民の政治意識は非常に高いように感じました。実際、イギリスの研究所の調査によると韓国の民主主義指数は日本より高く、三権分立もしっかりと確立していると聞きます。最近、そうした韓国で「徴用工」問題に関する日本企業への賠償を命じる司法判断が下されましたが、この問題に関する過去の経緯を意図的に捻じ曲げ、ただひたすら韓国政府を罵倒しているだけの日本政府の対応を見ると、やはり韓国の民主主義の成熟を痛感します。日本政府はアジアの平和や友好や調和を乱しており、アジアのなかで着実に「お荷物」の政治権力となりつつあるのではないでしょうか。

 その後、ソウル市街で、4年前に発生した大型旅客船「セウォル号」の転覆・沈没事故で亡くなった学生の遺影に献花・黙祷しました。事故では乗員乗客299名が亡くなり、現在でも行方不明の方がいます。

献花所