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イラン沖「有志連合」の結成と日本の参加に反対する 「外交の安倍」は平和的解決のため今すぐ行動を

「有志連合」ではなく核合意復帰へ

 米トランプ政権が、ホルムズ海峡などを航行するイラン沖の民間船舶の護衛を実施する「有志連合」の結成と参加について、各国に呼びかける予定であることが明らかとなった。

ホルムズ海峡で炎上するタンカー 米国はイランの攻撃と認定したがイランは否定している:日経ビジネス2019年7月12日

 米国とイランは長年にわたり対立し、核問題などで対立が先鋭化することもあったが、オバマ政権が核合意を取り付け事態が打開された経緯がある。このたびのイラン情勢の緊張は、そうした核合意を米国が一方的に離脱したことが主因である。

 その上で、イラン側が関与を否定しているホルムズ海峡におけるタンカー攻撃を口実に「有志連合」の結成と参加を各国に呼びかけるなどということは、イランを挑発し、緊迫した情勢に火に油を注ぐようなものである。イラン沖に米軍を中心とした艦隊が集結すれば、イラン側も相応の対応をせざるをえず、「軍事対軍事」の緊迫するなかで不測の事態が発生しないとも限らない。

 イラク戦争においても、米国は「有志連合」を結成し開戦に踏み切った。こうした過ちを二度と繰り返してはならない。米国は「有志連合」の結成ではなく、イラン敵視政策を見直して核合意へ復帰するべきだ。

単純な「反米」論を乗り越えて

 花瑛塾は単純で反射神経的な「反米」を主張するものではない。日米は最大のパートナーとして良好な関係を維持するべきと考えている。

 一昨年の米朝緊張の際には、花瑛塾は朝鮮半島へ空母打撃群を派遣するなど軍事的威嚇を行った米国に抗議したが、何よりもまずミサイル発射など安保理決議違反の軍事的挑発は絶対に許されないと北朝鮮に対して強く糾弾した。

イラン沖要図:東京新聞2019年7月10日

 花瑛塾は「反米」や「反北」といった「ポジション」ありきではなく、東アジアの平和のためにあくまでも米朝の対話を求めたのであり、単純で反射神経的な「反米」論を乗り越え、物事の本質を追及するのが花瑛塾のスタンスである。

 それはイラン情勢においても同様だ。是は是、非は非として訴える必要がある。米国の行動が「是」であれば、躊躇せず米国を支持することだろう。

 しかし、このたびのイラン情勢の緊張は、米国による一方的な核合意の離脱などトランプ政権のイラン敵視政策が要因といわざるをえない。最近話題になったダロック前駐米英大使の外交公電には、「イラン核合意がオバマ氏の合意だという理由から、外交的破壊行為に踏み切ろうとしている」との趣旨の文言が記されていたともいわれるが、米国がこうした一方的なイランへの敵視政策を見直し、核合意に復帰すれば、事態の解決ははかれるはずだ。

 もちろんイランは米国以外の国と締結されている核合意を維持し、米国を刺激するような発言や行動は控える必要がある。

「外交の安倍」は平和的解決のための努力を

 その上で、安倍政権は絶対に「有志連合」に参加してはならない。「有志連合」参加は、戦争への道に一歩踏み出すことを意味する。断固として拒否するべきだ。

 菅官房長官は12日、米国による「有志連合」の結成と参加要請について、「状況に応じて適切に対応したい」と述べ、きっぱりとした拒否の姿勢や意思を示していない。

 地理的制約を取り払い、地球の裏側まで米軍の後方支援をすることを認めた重要影響事態法や、駆けつけ警護や国連非統括型の国際貢献活動への自衛隊派遣なども可能となった改正PKO協力法などの安保関連法の成立により、自衛隊の海外派遣のハードルは一気に下がっている。安倍政権は「有志連合」に参加するため何らかの法的根拠を見つけ出すかもしれない。

 戦後神道界を代表する言論人葦津珍彦氏は、朝鮮戦争勃発時、米国の二軍としての日本再軍備と海外派兵に反対し、日本人が再び海外で人々に銃を向けることを戒め、平和を模索した。安倍総理も「外交の安倍」と称される外交力を発揮し、事態の平和的解決に向けて今すぐ行動するべきだ。