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令和2年9月14日 自民党総裁選、菅義偉新総裁に物申す!

 安倍首相の突然の辞意表明をうけ、自民党は今日14日、両院議員総会を開催し、安倍政権で長く官房長官を務めた菅義偉氏を新総裁に選出しました。私たちは菅新総裁の選出をうけ、菅新総裁が自民党本部で行う記者会見の時間にあわせ、自民党本部前にて声をあげました。

 今回の自民党総裁選は、全国の一般党員による投票を認めず、国会議員と都道府県連による簡易型の総裁選となっており、総裁選のあり方の妥当性・正当性については、自民党内からも疑問が呈されています。

 派閥の領袖が党内を牛耳り、今後のポストの分配を念頭に党内で権力闘争が行われ、組閣名簿が飛び交い、猟官運動が公然と行われ、その一方で党員の声が平然と無視されるかたちで強行された今回の総裁選は、まさしく今後首班指名選挙と天皇陛下の任命のもとで成立する予定の菅新内閣が派閥領袖の動向を伺い、また財界など一部の利害関係者の意向を優先し、国民の声を平然と無視する政治を行うであろうことを示唆しています。

 そうして示唆された今後の菅新内閣の政治姿勢は、言うまでもなく、これまでの安倍政権・安倍政治の継続であり、菅新内閣とは、安倍政権・安倍政治の劣化コピー、あるいは安倍政権・安倍政治の負の部分を純化・強化させたものといえるのではないでしょうか。

 実際に、菅新総裁は、総裁選において、安倍政権の政策を高く評価し、アベノミクスなど安倍政権の政策を継承するといっています。森友・加計・桜を見る会などの問題についても、「丁寧さが求められている」などといいつも、けして再調査の必要を認めようとしていません。

 そもそも菅新総裁自身が第二次安倍政権で一貫して官房長官を務めてきたわけであり、菅新内閣は、安倍首相なき安倍政権であり、菅新総裁を担ぎ上げた「第三次安倍政権・第一次菅新内閣」とでもいうべきものです。

 沖縄の米軍基地問題についても、安倍政権は沖縄の基地負担軽減に取り組むといいつつ、県民が猛反対するなかで辺野古新基地建設を推進し、翁長前沖縄県知事に冷酷な態度をとるなど、まるで「沖縄いじめ」とでもいうような対応を繰り返してきましたが、菅新総裁は官房長官兼沖縄基地問題担当大臣でもあり、そうした「沖縄いじめ」の張本人であったといえます。そうしたなかで、菅新内閣が、沖縄の基地問題への方針をこれまでのものから根本的にあらため、沖縄の意向を汲んだ政策を行うとはとても思えません。

 菅新内閣を短命で終わらせ、約8年も続いた安倍政権・安倍政治を根本的にあらため、終止符をうたねばなりません。

自民党本部前にて

 そのために大事なことは、民主主義を機能させるということです。

 安倍政権は、国会を開会しないなど国会から逃亡し、公文書を改ざんし、様々なデータや数値を偽り、メディアを統制し、人々の声を押し潰すなど、民主主義を機能停止させ、それによって追及をかわして超長期政権を築いていきました。菅新総裁はそうした安倍政権のナンバー2であり、自身も官房長官会見で記者の質問にまともに答えようとしないなど、民主主義の機能停止に加担してきた人物です。

 当然のことながら、菅新内閣も同様に民主主義を機能停止させ、政権の安定をはかることでしょう。既に菅新総裁の総裁選出馬会見において、記者会見のあり方について質問した記者を嘲笑するかのような返答をしたり、首相の国会出席の頻度を見直すような発言をしています。

 求められているのは、メディアが権力と癒着せず、適切な距離感を保ち、しっかりと調査報道を行い、権力を監視し、政権を批判していくことにより、民主主義を機能させていくということです。上述の菅新総裁の総裁選出馬会見における記者の質問への嘲笑に対し、大手メディアが一緒になって笑っていた事実は、大変深刻なことです。

 コロナ禍のなかで市民が声をあげ権力を追及するのは大変難しい状況にあります。権力を監視するメディアのあり方は、今こそ問われています。権力と共犯関係になり、人々の声を無視し、これを押し潰し、パンケーキや苦労人などといって世論をミスリードするような報道であれば、メディアもまた厳しく批判、追及される必要があります。

 政治は政治として、メディアはメディアとして、人々は人々として、その本分を尽くし、民主主義を機能させていくこと。そのなかでこそ滅びるべきものは滅び、残るべきものは残っていくことでしょう。

 私たちは今後もそうした立場から声をあげ続けていく覚悟です。