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【沖縄戦76年】沖縄戦を学ぶオンライン学習会 第5回「沖縄戦の何を学び、伝えなければならないのか」(沖縄県平和委員会)

 沖縄「慰霊の日」を明日に控えた22日、沖縄県平和委員会主催の沖縄戦を学ぶオンライン学習会の第5回「沖縄戦の何を学び、伝えなければならないのか」(講師:山口剛史さん、琉球大学教育学部)を聴講しました。

講師の山口さん:琉球朝日放送2020.3.25

 山口さんは琉球大学で主に沖縄戦と平和教育の問題などについて研究されていますが、特に学校での授業の実践を通じ、子どもたちの歴史認識や子どもたちの疑問と向き合い、沖縄戦教育・平和教育のあり方についてお考えになっています。

 このたびのオンライン学習会で山口さんは、現在の沖縄戦教育・平和教育の一例、例えば沖縄戦で住民が避難したガマに子どもたちを連れていき見学させ、そのなかでガマ内の暗闇を体験させるという「暗闇体験」を通じて子どもたちが感じる恐怖心から沖縄戦の恐怖を想起させ共感させるといったガマ学習を取り上げ、はたしてそうした体験は学び、伝えていくべき沖縄戦の実相(恐怖)なのかと問題を投げかけます。

 その上で沖縄戦教育が陥っている問題としてしばしば指摘されている「戦争は悲惨」「平和が大事」といったいわゆる「平和教育のマンネリ」について、必ずしも戦後70数年といった歴史が生み出したものではなく、子どもが主人公の授業をどうつくりあげるかという問題だとし、「地上戦の特徴を考える」、「沖縄戦における戦争動員について考える」、「沖縄の住民はどう生き残ったのかということを考える」という山口さんの実践を紹介いただきました。

 例えば「地上戦の特徴を考える」という実践では、沖縄戦のすさまじい地上戦の惨状を形容する有名な「鉄の暴風雨」「カンポーヌクエヌクサー(艦砲の喰い残し)」といった言葉を具体的にイメージすることを大事にし、子どもたちに爆弾の破片を触らせ具体的に「モノ」を通じて戦場のリアリティを想起させつつ、いかに地上が危険だったかを考えることを通じ、上述のガマ学習でいえば住民が避難するためにガマに入ったこと、ガマを求めて南部へ避難したこと、そしてそのガマを日本兵に追い出されたといった沖縄戦教育に導き、そこから今も軍隊があり兵器があることはなぜなんだろうといった総合的な平和教育に発展させていくといった実践をなされているそうです。

 そうした山口さんの実践と沖縄戦教育・平和教育の現状のリポートを通じ、学校教育ばかりでなく社会教育や地域教育を通じ、私たちがどのように「沖縄戦の何を学び、伝えなければならないのか」ということを考えさせられました。

学習会でお話しされる山口さん

 学習会の最後、聴講者との質疑応答では、沖縄戦や過去の大戦の被害の側面ばかりでなく朝鮮出身者や大陸での加害の問題、チビチリガマを荒した少年たちと学校教育の問題、沖縄への差別や蔑視の問題などについて、活発な意見交換がなされました。