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令和3年5月15日 オンライン講演会2「資料館開館にむけての明治大学の取り組み」(明治大学平和教育登戸研究所資料館)

 明治大学平和教育登戸研究所資料館第11回企画展「極秘機関『陸軍登戸研究所』はこうして明らかになった─登戸研究所掘り起こし運動30年のあゆみ─」のオンライン講演会の第2回「資料館開館にむけての明治大学の取り組み」(講師:山田朗館長、明治大学文学部教授)を視聴、学習しました。

 現在の明治大学生田キャンパスとなっている陸軍登戸研究所では、「秘密戦」といわれる日本軍の特殊作戦のための兵器開発や諜報・謀略などに関する研究がおこなわれていました。具体的には電波兵器やレーダーの開発、あるいは大陸戦線での軍費確保や国民党政権の混乱のための偽札製造、アメリカ大陸を直接爆撃するための風船爆弾の開発、諜報要員のための盗聴器などの謀略資材の研究開発、はては毒物や薬物、細菌兵器などの研究開発がおこなわれていました。

 第1回のオンライン講演会では、登戸研究所資料館展示専門委員の渡辺賢二さんを講師とし、戦後長らく闇に埋もれてしまった登戸研究所に関連する証言や資料の掘り起こしと実態解明について、資料館として結実していくまでの地域の人々や関係者の取り組みについて伺いました。

 今回は、明治大学平和教育登戸研究所資料館の館長で、明治大学で日本近現代史を専門とされる山田朗さんを講師とし、昭和25年に明治大学が登戸研究所跡地を購入して以降、大学としてどのように登戸研究所の歴史的検証や跡地の活用をしてきたか、平和教育や理化学教育の面から登戸研究所をどう位置づけてきたのかなどを伺いました。

 生田キャンパスの整備により登戸研究所の遺構はほとんど姿を消していきましたが、市民や明大生、あるいは明大教職員による調査研究、保存の声が高まるなかで、平成7年以降明治大学内で登戸研究所の調査研究が始まります。途中、明治大学の学生自治会や生協などに関連する極左セクトの問題をうけて調査研究、保存の動きが停滞することもありましたが、平成22年に現存していた登戸研究所36号棟を改装するかたちで明治大学平和教育登研研究所資料館が開館し、現在に至ります。

 山田館長によると、登戸研究所の調査研究、保存、そして資料館として開館の動きが進むにつれ、登戸研究所の関係者が「これでようやく過去のことを話していいんですね」といったそうですが、戦後何十年と人々に口を閉ざさせ、記憶を封印させ続けた戦争と軍隊というものの重みを感じることができました。

 次回は8月7日より同じく山田館長を講師とし「帝銀事件と日本の秘密戦:捜査過程で判明した日本軍の実態」との講演があるそうです。詳しくは登戸研究所資料館のホームページよりご確認下さい。

令和3年3月20日 オンライン講演会「登戸研究所掘り起こし運動30年のあゆみ」(明治大学平和教育登戸研究所資料館)