未分類

76年目の8月15日「戦没者を追悼し平和を祈念する日」を迎えて

 昭和20年8月15日、今から76年前のこの日、昭和天皇みずからポツダム宣言の受託を国民に告げる終戦の詔書を読み上げる「玉音放送」がラジオ放送されました。

76年目の終戦の日の靖国神社

 日本のポツダム宣言受託の旨は、連合国に対し既に8月10日に第一次受託通告がなされ、14日に最終受託通告がなされています。また陸海軍人へ降伏を告げる昭和天皇の勅語は17日に渙発されており、さらに正式な日本の降伏調印式は翌月9月2日に行われています。その一方で、沖縄や北方地域あるいは中国大陸を含むアジア各地では、8月15日以降も一部で激しい戦闘が続けられています。

 こうした事実関係を見ると、8月15日とは一体何の日なのか一考を要します。少なくともこの日をもって正式に戦争が終結したということはできませんが、それでも8月15日が先の大戦の一つの大きな節目であることは間違いありません。

 8月15日は現在、戦没者を追悼し平和を祈念する日、終戦記念日とされ、天皇皇后両陛下御臨席のもと、政府主催の全国戦没者追悼式が開催されている他、各地で戦争に関連する様々な式典や行事、集会、儀式などが開催されています。

 「戦争の記憶の継承と慰霊」を掲げる花瑛塾も例年8月15日前後、先の大戦にて戦陣に散った戦没者と戦禍に倒れた国内外を問わぬ全ての犠牲者を慰霊追悼し、世界の平和を祈念するため、各種の式典や行事、集会などに出席するなどしています。

 しかし昨年は、折からのコロナ禍によって様々な動きを制限せざるをえませんでした。

 今年もコロナ禍の収束を見ないなか、昨年同様きわめて限られた動きとなりましたが、8月14日から15日にかけ、戦争犠牲者の慰霊追悼と世界の世界の平和を祈念し、埼玉県護国神社みたま祭への献灯と参拝、第56回戦争犠牲者慰霊並びに平和祈願式典(8.14式典)の視聴をした他、靖国神社と千鳥ヶ淵戦没者墓苑を参拝しました。

埼玉県護国神社みたま祭献灯

 埼玉県護国神社では例年8月15日、みたま祭を斎行し、同社に祀られている埼玉県出身の国事殉難者の霊をお慰めするとともに、前日14日にはみたま祭前夜祭として奉納演奏などが行なわれていますが、昨年よりコロナのためみたま祭への一般参列が中止となり、前夜祭もまた取り止めとなっています。

 しかし、みたま祭の献灯は続けられていることから、私たちも例年通り今年も献灯するとともに、みたま祭前日の14日、個人として同社を参拝し、慰霊追悼の念を捧げ、世界の平和を祈念しました。

 その後、千鳥ヶ淵戦没者墓苑で開催された第56回戦争犠牲者慰霊並びに平和祈願式典(8.14式典)のオンライン配信を視聴しました。

式典が行なわれた千鳥ヶ淵戦没者墓苑

 この式典は新日本宗教青年会連盟によるもので、新日本宗教団体連合会や新日本宗教青年会連盟加盟の新宗教系各宗教団体が教義や信条の違いを乗り越え、戦争犠牲者を慰霊し、「絶対非戦」と「平和実現」を誓うものです。

 式典は毎年、多くの来賓や信徒、一般参列者が千鳥ヶ淵戦没者墓苑に集い営まれていますが、昨年に引き続き今年もコロナのため、新宗連青年会のメンバーのうち関東在住の代表者などだけが集い、式典拝礼を行ない、その模様がオンライン配信されました。

 昨年、そして今年と式典がコロナのため来賓やこの式典を重要な祈りの場と考えている各宗派の信徒さん方、そして一般参列者の参列をお断りし、オンライン配信のみに限定していることを知ってか知らずか、現地に赴き写真撮影などをする者が出てくるかもしれないと案じましたが、多くの心ある人たちがこのたびの式典のあり方を理解し、オンライン配信を通じて「絶対非戦」と「平和実現」の祈りを捧げており、私たちも心を共にし「絶対非戦」「平和実現」を誓いました。

 また8月15日には、靖国神社と千鳥ヶ淵戦没者墓苑を参拝し慰霊追悼した他、全国戦没者追悼式における正午の黙とうに合わせて黙とうするとともに、天皇陛下のお言葉を拝聴しました。

千鳥ヶ淵戦没者墓苑の一角に建つ平和祈念、追悼慰霊碑

 終戦の日にあたり例年同様のことを述べていますが、戦後76年を迎え、今や戦後100年が視野に入りつつあるなか、靖国神社をめぐる情勢など日本の戦没者慰霊は落ち着きのない状況が続いています。

 そればかりか時の政権は過去の戦争に真摯に向き合う姿勢を欠き、安保関連法の制定や自衛隊の中東派遣、南西諸島への配備、空母建造など軍拡路線を続け、このままでは新たな「戦死者」が生まれるおそれがあるばかりか、日本の攻撃により海外で新たな「戦死者」「戦争犠牲者」を生みかねない危険な状況にあります。

 終戦の詔書には「万世ノ為ニ太平ヲ開カムト欲ス」「総力ヲ将来ノ建設ニ傾ケ道義ヲ篤クシ志操ヲ鞏クシ」「世界ノ進運ニ後レサラムコトヲ期スヘシ」とあります。

 また昭和25年の神社新報の社説には、「われ等神道人の任務は、この民のために平和を守るべく懸命の力を致すにあると信ずる」「現下の日本人にとつて、最も必要なのは、侵略者に対抗するための軍備を急ぐことでもなければ、武器を携へて海外の義勇軍に身を投ずることでもない」とあります。

 こうした言葉に接する時、私たちはけして軍事強国など目指してはならず、再び隣国を威嚇するような国になってはいけない、それこそが先人の願いであり、また終戦の詔書における「爾臣民其レ克ク朕カ意ヲ体セヨ」の語の本義であるということを理解できるはずです。

今年の全国戦没者追悼式でお言葉を述べられる天皇陛下:NHK2021.8.15より

 全ての戦争犠牲者に心からの慰霊追悼の意を表するとともに、二度と戦争を繰り返さないような平和な日本を実現することが、戦後100年を迎えようとする私たちの「真の慰霊」と信じ、これからも平和の実現のために取り組んでいきたいと思います。

75年目の8月15日「戦没者を追悼し平和を祈念する日」を迎えて