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靖国神社 第74回みたままつりに献灯しました

 靖国神社では毎年7月に「みたままつり」が開催され、祭典が執り行われるとともに境内には各界名士などが揮毫した雪洞や崇敬者による献灯が掲揚点灯され、靖国神社の御祭神をお慰めしています。昨年のみたままつりはコロナの影響で中止となりましたが、今年は第74回みたままつりとして無事開催の運びとなり、花瑛塾も例年通り献灯しました。

多くの献灯が掲揚されている靖国神社神門前

 みたままつりは昭和21年7月、長野県遺族会の有志による境内での奉納盆踊りを契機として靖国神社側と柳田国男が検討を重ね、翌年7月から正式な祭典として執り行われるようになりました。

 みたままつりの神学的基礎づけは柳田『先祖の話』によるもので、仏式の盆行事とは異なるものとされています。むしろ柳田は、先の大戦末期、わが子の召集や折口信夫の養子である折口(藤井)春洋の戦死などを受け、「〔日本〕固有の生死感を振作せしめる一つの機会」について思索を続けていました。

 そんな柳田と新たな民衆的な基礎を持つ慰霊祭祀のあり方を模索していた靖国神社が交流を深めるなかで、みたままつりが成立していきます。

今年の花瑛塾の献灯
夜になり点灯された献灯

 そうした背景もあり、昭和24年には7月13日のみたままつり前夜祭に先立ち、靖国神社に合祀されている祭神(戦没者)以外の一般戦没者も慰霊する「慰霊祭」が同社神職の発意のもと行われ、以後「諸霊祭」として恒例のお祭りとなるなど、みたままつりは靖国神社に祀られていない一般戦没者も慰霊の対象としているところに大きな特徴があります。

 その諸霊祭が行われていた場所が旧招魂斎庭(本殿向かって左側の境内地)であったといわれ、常磐木の神籬をたて、そこへ臨時に諸霊を招くかたちで祭儀が行なわれていたそうです。

 昭和40年に旧招魂斎庭の奥(元宮の隣)に「鎮霊社」が建立され、嘉永6年以降の戦没者で靖国神社に祀られざる御霊、および同年以降の諸外国人の戦没者を祀ることになると、それ以降は鎮霊社の例祭(7月13日)が諸霊祭にかわっていきました。

 靖国神社は占領中、GHQに対してみたままつりを「フォークの祭(民俗行事)」と説明していますが、いわゆる「A級戦犯」の靖国神社への合祀以前の一般戦没者をも慰霊の対象とする民衆的基盤を持つお祭り(「フォークの祭」)としてのみたままつりを通じ、靖国神社における戦没者慰霊の多様性や戦後の戦没者慰霊のあり方などに思いを巡らせていただければ幸いです。

例祭に向けて舗設が進んでいた鎮霊社

 なお今年のみたままつりは、感染症対策として露店の出店や各種奉納行事などは中止となっています。ただし祭典は16日までですが、雪洞や献灯の掲揚点灯期間は18日まで、閉門時間も夜8時までに延長されています。また期間中は、夜間中庭参拝として拝殿からさらに進み本殿前の中庭での参拝が可能となっています。

 その他、感染症対策の観点から境内の様子のオンライン配信などもなされ、オンラインによる祈願の申し込みも可能となっています。

 

本年も靖国神社みたま祭(7月13日~16日)に献灯しました

令和元年7月16日 靖国神社みたま祭 旧招魂斎庭・鎮霊社 拝礼